ワクチンは危険であるとか、効果が無いとか、とにかくワクチンが有害無益であると主張して、ワクチンの接種を拒否するようにそそのかしたり、ワクチン自体の開発や普及に反対したり、悪質なデマを流布する人々が増えています。
もちろんワクチンにも副作用はありますし、過去には危険性の高いワクチンなどが使用されていたこともありました。今後もワクチンの副作用などで問題が起きることはあるでしょう。
たしかに日本の厚生労働省は極めて怠惰で悪質な官僚集団であることは間違いありません。彼らは古い危険なワクチンを平然と使い続けたり、有用な新しいワクチンの普及をためらったりする、日本の官僚の中でも最悪の既得権集団です。彼らを擁護できる理由は何一つありません。
しかしワクチンにはそうした問題を考慮したとしても、それを大幅に上回る有益性があることは間違いの無い真実です。
ワクチンの有用性は、歴史的にも科学的にも完全に実証されています。
ワクチンが天然痘を撲滅したことはどんな教科書にも載っています。ポリオもいままさに根絶に向けた最後の一押しが進んでいます。10年後、20年後にはポリオも根絶された病気となることを期待します。
新しいワクチンの採用に関しては各国で厳密なテストが行われ、副作用などが最小で済むように、そして有用性がリスクを必ず上回るように厳格に管理されています。
ワクチンは100%安全でもありませんし、100%有益なものでもありません。しかし正しく使えば、接種を受けた人にとって極めて有益であり、人類社会にとって病気と闘うための最強の武器でもあるのです。
もちろんワクチンには一定の問題や危険性もあります。
しかしワクチンを否定する論には、極めて多くのデマが含まれており、さらにはワクチンを一律に有害無益として、接種を拒否するように煽動するなど、悪質な論者が多いのが問題です。
ワクチンを拒否する人は、自分の子供を危険な感染症の被害にさらすだけではなく、社会全体に感染症を流行させて、周りの人々をも危険にさらしているのです。
世の中には免疫不全症患者や卵アレルギーの人など、ワクチンを接種することができない人もいます。そうした人であっても、もし社会全体で多くの割合の人がワクチンを接種していれば、そうした弱い立場の人々も病気から守られるのです。これを集団免疫(herd immunity)と呼びます。
ワクチンを否定する悪質なデマは、健康食品やスピリチュアルなどの愛好者から世界的に広まっており、狂信者といっても良いほど強く信じ込む人々を増やしています。そして、いままさに日本にどんどん上陸してきている状況です。
こうしたデマによる子供や弱者への健康被害を、われわれはなんとしても防がなければなりません。
個々のワクチンを誰がどのように接種すべきかについては、医学的な議論の余地があります。
ワクチンの有益性の評価や、安全で効果の強いワクチンを安定して供給することには、技術的な難しさや、コスト面での課題も多く、まだまだ改善の余地のある分野です。そうした点について議論をすることは大変有益です。
こうした議論はワクチンを一律に否定する悪質なデマとは全く別の物です。しかし、ときとして悪質なデマが、正しい議論とまぜこぜにされて表現されているので注意が必要です。
たとえばインフルエンザワクチンは幼児には絶大な効果を発揮し、幼児の健康リスクを大幅に低減させることが確実に実証されています。しかし高齢者においては、インフルエンザワクチンの効果はそれほど確実に実証されているわけではありません。
最近開発されたコレラワクチンは、まだ効果や有用性があまり実証されておらず、WHOなどもあまり強く推奨していない状況です。新しいワクチンの有用性が実証されるには、時間がかかるでしょう。
2012年8月まで長い間利用されていた生ポリオワクチンは、ごくまれにポリオを発症させるという極めて危険な副作用を持っていました。そして日本では野生型ポリオウイルスに感染するリスクは極めて低いというか、ほぼゼロに近い状態でした。それにも関わらず、アメリカでは1987年に認可された安全な不活化ワクチンに早期に切り替えなかった厚生労働省は未必の故意による薬害犯罪者であることは間違いありません。
それに対して、HPV(ヒトパピローマウイルス)のワクチンの有益性は極めて高いものであり、こうしたワクチンの普及を渋っている厚生労働省は、ここでもまた多くの病気の犠牲者を生み出している不作為による殺人者と言っても良いでしょう。
また麻疹や風疹などのワクチンについても有益性は極めて高いと考えられていますが、日本では長い間、おたふく風邪ワクチンによる三種混合ワクチンの副作用の問題が発生して接種が中断していました。これももっと早期に解決することができたと考えられますが、そうしなかったのは厚生労働省の怠惰です。
しかし、こうした科学的で有益な議論と、反ワクチン運動の悪質なデマは、厳しく峻別されるべきであります。
私は、必ずしも反科学主義や反知性主義を片っ端から攻撃することが科学の普及のために役立つとは思っていません。それどころか、あまりに攻撃的な姿勢は科学の普及を妨げると思っています。
しかしながら反医学主義や反薬剤主義のような主張で利益を得ている人々や、イカサマ健康食品などは、多くの患者を苦しめている詐欺師・偽医療家集団であり、もっと強い規制が行われるべきであると思います。
そのなかでも、反ワクチン主義は、自分で自分を守ることができない弱い子供を犠牲にし、社会全体に病気を蔓延させ、ワクチンという最も有益な道具の普及を妨げる、デマのなかでも最も悪質なデマの一つと言っても過言ではないでしょう。
人種差別発言などと同じく、最も憎むべきデマであり、社会から徹底的に排除されるべき煽動行為です。
そして反ワクチン活動で利益を得る"自然療法家"や健康食品メーカーなどの人々は、危険かつ有害な偽医療家として投獄されるのが当然と言えるでしょう。
私は、反ワクチン運動を強く憎みます。なんとしてもこの愚かな運動が大いなる悲劇を引き起こすことを食い止めなければなりません。
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