本ブログはなるべく良質の記事だけをお届けしようとした結果、あまりに記事が減りすぎてしまったので、ちょっと気軽に書ける雑な記事を増やしていこうかと思います。
さてソウルの仁川国際空港と、バンコクのスワンナプーム国際空港は、どちらも古くなった旧空港から新しい場所に移転した空港です。いわば成田空港のようなものでしょうか。仁川空港は成田空港と同じく、かなり離れた場所にあります。
仁川国際空港にもスワンナプーム国際空港にも、わりと最近になって待望の空港連絡鉄道が完成して運用されています。どちらもタクシーやバスに頼らないで済むので、旅行者にとっては安心して利用出来る乗り物です。
しかしどちらも致命的な運用上の欠点のせいで、空港への到達時間を短縮することには完全に失敗しています。それどころか仁川空港への空港鉄道は深刻な経営危機に見舞われています。
この二つの空港鉄道には、どちらも急行と鈍行があり、鈍行は頻繁だけど、かなりゆっくり走ります。急行はたまにしか来ないけど、わりと高速に走ります。
困った問題は、鈍行と急行で料金が違い、さらに改札口やプラットホームまで違っているため、ホームにいって急行が来たらそれに乗るということができないのです。そのせいで、たまにしか来ない急行を当てにして急行ホームに行く人は誰もおらず、急行はガラガラどころか乗客がほぼゼロの状態です。
ついにはバンコクのエアポートレールリンクでは急行の運行を取りやめてしまいました。
どちらも京成スカイライナーなみの160km/hの設計速度を持っており、本来は空港への到達時間を大幅に短縮するはずなのに、なぜこのような事態になってしまったのでしょうか?
推測出来る理由としては、韓国もタイも、日本のような郊外鉄道網を一切持っておらず、地下鉄のような都市内鉄道と国鉄の二系統しかないために、郊外高速鉄道の運営経験が全くないということがあります。
そのためアホなコンサルタントか誰かに騙されて、急行と鈍行の料金を変えようという、馬鹿な価格差別化を設定してしまったのでしょう。しかし一体誰が、10分~20分程度の時間短縮のために、たまにしか来ない急行列車を待って、わざわざ高い運賃を払うというのでしょうか? あまりにもアホすぎます。鈍行に乗った方が普通は早く着くんですから。
その結果、仁川空港鉄道の急行は一日2000人しか乗らないのに、ガラガラの列車を意味もなく運行しつづけているというアホ状態です。せめて失敗を明らかに認めただけバンコクの方がずっとマシです。
この話はアホ過ぎてビジネスの教訓にはならないかもしれませんが、政府や公共部門が本当に愚かな振る舞いをするのは日本に限らず、どの国も一緒ということです。
政府公共部門や大企業などの大組織において、どのようにガバナンスを効かせて、まともな意思決定や組織運営が行われるようにするかというのは、21世紀における最も重要な問題ではないかなと思います。全てのニーズが自由市場だけで解決するわけではありませんから。
また、世界における貧困問題や紛争などの問題は、99%は政府部門がアホすぎるせいで発生しています。べつに空港鉄道が多少アホでも人が死ぬわけではないので、まあ、大した問題ではないのです。しかしこの地球上の多くの領域では、政府がアホすぎるせいで、多くの子供達が飢えや病気や戦争で死んで行っています。
政治と経済という領域が21世紀の最も重要な課題であると私は信じます。ですが、残念ながら政治学も経済学も完全に停滞しており、それを解決する方法はまだ全く見つかっていません。
あれ、なんかタイと韓国の空港鉄道を気軽に馬鹿にするだけの記事のはずが、なんか偉そうになってしまったので、ここで筆を置きます。まあ、世の中、どこの国にも、理不尽なことや愚かなことは沢山ありますねと。
余談: ちなみに成田空港のようにそもそも空港自体がとてつもない大失敗である件に比べればずっとマシな話です。成田空港は悲惨すぎて馬鹿にする気にもならないですね。考えると気分が暗くなってしまうので。逆に空港と空港鉄道が模範とすべきなのは香港国際空港ですね。あれは素晴らしい。
2015年12月29日火曜日
2011年8月29日月曜日
ベンチャー起業家が会社設立前に必ず読むべき本 - Venture Deals
米国のベンチャーキャピタリストBrad FeldとJason Mendelsonによる、つい最近出版されたばかりの書籍「Venture Deals: Be Smarter Than Your Lawyer and Venture Capitalist
」は、ベンチャー起業家が必ず読むべき一冊です。
この本は、ベンチャー企業が投資を受けるとき、会社を売却するときに直面する契約条件などについて実践的な知識がふんだんに盛り込まれています。
皆さんは、米国の法律と事例に基づいた専門的なファイナンス契約に関する書籍を日本人起業家が読む必要があるのか、と疑問をお持ちになることでしょう。しかし、ここまで実践的な経験と知識に基づいて書かれた該博な本が、日本では出版されていないのですから、これを読むほかありません。
日本では「ベンチャー投資」という言葉だけが先行していて、それに関する知識もまったく流布されず、こうした実務に関する情報も殆ど皆無なのですから、現状は笑止千万としか言いようがありません。せめて一人でも多くこうした本を読んで、知識を身につけることを切に願います。この本が日本語に訳出されることを願いますが、読者層の少なさを考えると望み薄ですね。
ベンチャー起業家とは、VCから投資を受けて、IPOや会社売却を目指す起業家のことですが、もしあなたが投資を受けるつもりがなくても、誰かと会社を共同所有するのであれば、読む価値はあるかもしれません。
[以下やや逸脱]
企業や組織を他人と運営していくときに、もっとも大切なのはガバナンス(組織統治)の方法です。この本には、アメリカで実際に無数に試されてきたガバナンスの一つのベストプラクティスが載せられています。
株式会社などの設立時や投資時には、素人では、せいぜい持ち分の設定と取締役の選任をして終わりです。しかし、実際には、他にも取り決めておくべきことは沢山あります。とくに、新株発行(増資とストックオプション)についてのルールと、Vesting(創業者退任時の株式の買い取りルール)は、会社設立時や増資時に確実に書面にしておくべきでしょう。さもなくば、確実に揉め事の元になります。私もそれで何度もトラブルを経験しました。
また共同経営者にもこうした本を読ませるべきでしょう。日本ではガバナンスの知識が浸透しておらず、頭が良く優秀で誠実な経営者であっても、ひどく間違った考え方を持っている人もいます。株主の権利を軽視して、不当または不公平な増資を行うような不誠実な経営者が多くいます。そのために、まともな経営者ですらそうした行為を当たり前だと思うような始末です。
[逸脱おわり]
この本は、平易な英語によって書かれてはいますが、ベンチャー投資について事前知識がなければ読むのは難しいでしょう。あらかじめ磯崎氏の「起業のファイナンス ベンチャーにとって一番大切なこと
」を読んだり、TechCrunch等のブログを読んで米国ベンチャー用語について学んでおく必要があります。また、もちろん株式会社に関する常識的な知識も必要です。
私も、もっと会社運営の法的な実務と、ガバナンスの知識について学ぼう、という思いを持ちました。ちょっとしたことに気をつけるだけで、将来のトラブルを未然に防げるのですから。
以下、内容概略:
第1章: "Players". 起業家、ベンチャーキャピタリスト、エンジェル投資家、シンジケート、弁護士、メンターなどのベンチャー投資関係者についての概略。
第2章: "How to Raise Money". 投資を受けるための心構えや用意すべきプレゼン書類など。アーリーステージでは、実際に動くデモが重要であって、ビジネスプラン(とくに予測売上)は重要ではない。
第3章: "Overview of the Term Sheet". タームシート(投資条件についての合意書)の要素について。タームシートに金銭的な要素と会社支配権の要素がある。
第4章: "Economic Terms of the Term Sheet". タームシートの金銭的な要素について。価格、Liquidity Preference、Pay-to-play、Vesting、Employee Pool、Antidilution (稀薄化防止条項)。
第5章: "Control Terms of the Term Sheet". タームシートの会社支配に関する要素について。取締役の選任権、重要事項の拒否権、Drag-Along Agreement、転換権。
第6章: "Other Terms of the Term Sheet". タームシートのその他の要素について。これらの要素はそれほど交渉の余地はない。
第7章: "The Capitalization Table". Cap Table、すなわち会社価値、持ち分、株式数、株式購入金額などの表の計算方法。
第8章: "How Venture Capital Fund Work". ベンチャーキャピタルがどのような仕組みで動いているか、組織や運営原理についての説明。
第9章: "Negotiation Tactics". どのようにVCと交渉するか。
第10章: "Raising Money the Right Way". 投資を受けるときにやるべきでない6つのこと。これをやると、すごく素人くさく見えるし、場合によっては案件がぽしゃる。例: NDAを求めるな。一人ぼっちで起業するな。
第11章: "Issues at Different Financing Stages". 段階別の投資について。シードステージ、アーリーステージ、ミドル・レイターステージ。また転換社債を使った投資など。転換社債を使うと債務超過になるので、その期間の行為について取締役が法的責任を負う恐れがある。
第12章: "Letters of Intent - The Other Term Sheet". Letters of Intent (買収を受けるときの条件合意書)について。どのような条項があり、なにに気をつけるべきか。
第13章: "Legal Things Every Entrepreneur Should Know". 起業家が知っておくべき法的事柄について。知的所有権や雇用関係など。
この本は、ベンチャー企業が投資を受けるとき、会社を売却するときに直面する契約条件などについて実践的な知識がふんだんに盛り込まれています。
皆さんは、米国の法律と事例に基づいた専門的なファイナンス契約に関する書籍を日本人起業家が読む必要があるのか、と疑問をお持ちになることでしょう。しかし、ここまで実践的な経験と知識に基づいて書かれた該博な本が、日本では出版されていないのですから、これを読むほかありません。
日本では「ベンチャー投資」という言葉だけが先行していて、それに関する知識もまったく流布されず、こうした実務に関する情報も殆ど皆無なのですから、現状は笑止千万としか言いようがありません。せめて一人でも多くこうした本を読んで、知識を身につけることを切に願います。この本が日本語に訳出されることを願いますが、読者層の少なさを考えると望み薄ですね。
ベンチャー起業家とは、VCから投資を受けて、IPOや会社売却を目指す起業家のことですが、もしあなたが投資を受けるつもりがなくても、誰かと会社を共同所有するのであれば、読む価値はあるかもしれません。
[以下やや逸脱]
企業や組織を他人と運営していくときに、もっとも大切なのはガバナンス(組織統治)の方法です。この本には、アメリカで実際に無数に試されてきたガバナンスの一つのベストプラクティスが載せられています。
株式会社などの設立時や投資時には、素人では、せいぜい持ち分の設定と取締役の選任をして終わりです。しかし、実際には、他にも取り決めておくべきことは沢山あります。とくに、新株発行(増資とストックオプション)についてのルールと、Vesting(創業者退任時の株式の買い取りルール)は、会社設立時や増資時に確実に書面にしておくべきでしょう。さもなくば、確実に揉め事の元になります。私もそれで何度もトラブルを経験しました。
また共同経営者にもこうした本を読ませるべきでしょう。日本ではガバナンスの知識が浸透しておらず、頭が良く優秀で誠実な経営者であっても、ひどく間違った考え方を持っている人もいます。株主の権利を軽視して、不当または不公平な増資を行うような不誠実な経営者が多くいます。そのために、まともな経営者ですらそうした行為を当たり前だと思うような始末です。
[逸脱おわり]
この本は、平易な英語によって書かれてはいますが、ベンチャー投資について事前知識がなければ読むのは難しいでしょう。あらかじめ磯崎氏の「起業のファイナンス ベンチャーにとって一番大切なこと
私も、もっと会社運営の法的な実務と、ガバナンスの知識について学ぼう、という思いを持ちました。ちょっとしたことに気をつけるだけで、将来のトラブルを未然に防げるのですから。
以下、内容概略:
第1章: "Players". 起業家、ベンチャーキャピタリスト、エンジェル投資家、シンジケート、弁護士、メンターなどのベンチャー投資関係者についての概略。
第2章: "How to Raise Money". 投資を受けるための心構えや用意すべきプレゼン書類など。アーリーステージでは、実際に動くデモが重要であって、ビジネスプラン(とくに予測売上)は重要ではない。
第3章: "Overview of the Term Sheet". タームシート(投資条件についての合意書)の要素について。タームシートに金銭的な要素と会社支配権の要素がある。
第4章: "Economic Terms of the Term Sheet". タームシートの金銭的な要素について。価格、Liquidity Preference、Pay-to-play、Vesting、Employee Pool、Antidilution (稀薄化防止条項)。
第5章: "Control Terms of the Term Sheet". タームシートの会社支配に関する要素について。取締役の選任権、重要事項の拒否権、Drag-Along Agreement、転換権。
第6章: "Other Terms of the Term Sheet". タームシートのその他の要素について。これらの要素はそれほど交渉の余地はない。
第7章: "The Capitalization Table". Cap Table、すなわち会社価値、持ち分、株式数、株式購入金額などの表の計算方法。
第8章: "How Venture Capital Fund Work". ベンチャーキャピタルがどのような仕組みで動いているか、組織や運営原理についての説明。
第9章: "Negotiation Tactics". どのようにVCと交渉するか。
第10章: "Raising Money the Right Way". 投資を受けるときにやるべきでない6つのこと。これをやると、すごく素人くさく見えるし、場合によっては案件がぽしゃる。例: NDAを求めるな。一人ぼっちで起業するな。
第11章: "Issues at Different Financing Stages". 段階別の投資について。シードステージ、アーリーステージ、ミドル・レイターステージ。また転換社債を使った投資など。転換社債を使うと債務超過になるので、その期間の行為について取締役が法的責任を負う恐れがある。
第12章: "Letters of Intent - The Other Term Sheet". Letters of Intent (買収を受けるときの条件合意書)について。どのような条項があり、なにに気をつけるべきか。
第13章: "Legal Things Every Entrepreneur Should Know". 起業家が知っておくべき法的事柄について。知的所有権や雇用関係など。
参考:
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