2013年2月27日水曜日

未踏カンファレンス2013で「自社サービスで成功する方法」を講演します

3月10日に品川で行われる未踏カンファレンス2013で「自社サービスで成功する方法」という演題で講演を行います。

Googleの及川さんや、東工大の首藤さんなど、錚々たる顔ぶれが講演する予定なので、ぜひ東京の方はおいでになると面白いかと思います。

私は、いまのところ以下のような概要での発表を考えています。

未踏カンファレンス講演「自社サービスで成功する方法」
凡人が自社サービスで成功するために
天才は勝手にやってくれ
自社サービスはなぜ難しいか
人材サービス業(受託開発業)が特異的に参入障壁が低い
スケールしないので、技術や営業の個人プレーで成功可能
スケールしないので、大企業が完全圧勝パターンを作れない
スケールするビジネスは顧客を作ることはすごく難しい
大企業や先行企業の圧勝パターンになる。弱者は全滅も
このあたりの事情はランチェスター戦略に詳しい。
基本的には零細企業には受託開発業などが合っている。
だが、一度きりの人生、下請けで終わっていいのか?
自己紹介
xcream - 年商○○円以上
メイシー - 通期黒字かつ成長軌道
誰とやるかは重要
営業販売を第一に考えて顧客視点で動く
顧客発見プロセス・リーンスタートアップ
プランの段階で他人に聞いて、実際に買うかどうか調べる
市場がない / 市場が飽和している = 独自性 / 独自性がない
市場がない、お金にならない、のは最悪
市場が飽和気味でも本当に進出の余地がないとは限らない
独自性は上級者向き
既存商品が満たしていない細かいニーズ。既存製品の裏をかく
最高に成功しても、全く儲からないようなビジネスって?
広告や営業はとにかく多種多様に試すしかない
ビジネスは、商品3分、売り7分。売りに注力すべし
売りの手法とは何か
法人営業、代理店営業、Adwords、テレアポ、チラシ
売りの手法や対象顧客によって値段設定なども変わる
弊社がやってきた失敗の歴史
成功例 (オフレコ)
失敗や持久戦を覚悟する
離陸まで数年かかることも良くある
失敗がふつう
pivot!
振り返り
もっと軽量にやるべきだった
開発やデザイン費用は極小にしてマーケティングに回す
もっと顧客視点でやるべきだった
「アントレプレナーの教科書」をもっと早く知っていれば!
これから先
自分が経営者や技術者として天才にほど遠いのを思い知った
弱者は弱者なりに、機敏かつ軽妙に動いていくことで生き残る

2013年2月21日木曜日

独立・起業するときに絶対に必要なことは退路を確保すること

先日、数年間行方不明だった知人から連絡があり、どうしたのかと思ったら、なんと刑務所に収監されていたとのことで驚きました。

彼の経営している会社が資金繰りで困っていることは知っていましたが、その関係でトラブルになり、刑事責任を追及されたようです。

借金などの経済難によって行方不明になっているのかなあ、と思っていましたが、まさか刑務所に入っているとは思いもよらず、大変驚きました。まあ、生きているだけでも幸運なのかもしれませんが・・・

経営者にとって、経営責任を追及されるということは、首になるだけでは済まず、ときとして民事や刑事上の個人責任を追求される可能性があります。

経営をするということの責任はきわめて重く、単なる一会社員とは別の次元と考えたほうが良いでしょう。

もし独立・起業するときには、最悪のケースを破産・失踪・自殺・収監などと考えて、そのような事態にならないように対策を打っておくことが必要です。

失敗することを想定して経営するのか? そんなことでいいのか? と思われるかもしれませんが、経営者にとって失敗は当たり前であり、そのときの引き際の美しさによって、自分や周囲への被害程度というのは、かなり変わってくるでしょう。

周囲に迷惑をかけないためにも、引き際を常に考えた経営をしておく必要があります。失踪などすると周囲の人に著しい悪印象を与えますので、再起がかなり難しくなってしまうのではないでしょうか・・・

フリーランサーであっても、納期が守れない、ぜんぜん開発が成功しない、顧客とうまくいかない、などということは日常茶飯事ですので、そのあたりずぶとい根性で世渡りしていく必要があります。やはり失踪してしまうと印象最悪なので、腰は低くしつつも開き直るくらいの根性が必要です。

事態が悪くなってきたときに、どのように事態を収拾するかということで、その後のことが大きく変わってきます。ナニワ金融道などが参考になるかと思いますが、危機に陥って、焦ってジタバタしてしまったり、失踪してしまったりすると、確実に事態は悪化するんですよね。

最悪の場合「ごめんなさい、本当にお金がないので払えないのです」と言って、潔く撤退して、最低限の法的義務を果たす方向にシフトするのが良いのではないでしょうか。そこで他人のお金に手をつけてしまったりすると、本当に刑務所送りになってしまいますので・・・

事業のほとんどは失敗に終わりますので、失敗に終わることを考えて経営することで、被害や迷惑を最小限に抑えるだけでなく、より真剣味がある、よりよい経営ができるでしょう。もし撤退する案が恐ろしく思えるのであれば、身の丈にあわない事業をしているということです。

このあたり、やはり相談できる先輩経営者がいるのといないのとで大きく変わってくるかと思います。

独立・起業するのなら、弱みを認める、潔く撤退する、失敗を受容する、他人に迷惑をかけることを受容する、といった日本人が苦手とする考え方も持つ必要があります。もちろん他人に迷惑をかけてばかりなら成功の見込みはないでしょうけど、格好付けて見栄を張って一人で無理な勝負を続けたあげく失踪するよりも、さっさと降参する方がみんなのためになることもあるのです。

逆に言えば、失敗しても平気なレベルにとどめておくならば、チャレンジしても何も怖くないのです。失敗を受容することこそが、成功への第一歩かな、とおもいます。

2013年2月11日月曜日

セルフオフショアリングとビザ問題


最近フィリピンを訪問しましたが、その理由の一つに将来の「セルフオフショアリング」に備えての意味がありました。

私はいまでこそなんとか日本で生活できるだけの所得を得ていますが、それを継続できるかどうかわからないと思っています。私は朝起きられないので企業で働くこともできませんし、在宅勤務やフリーランスであっても、あまり日本企業の下請け仕事をしたくないというのが正直な気持ちです。

もし将来的に事業がうまく行かなくなったら、物価の安い海外に引っ越して、なんとかそこで節約生活をして生きていくということを一つの選択肢として考えています。欧米人には、そういう人が大勢います。

たとえば、あるバンコクにいる英国人は、AT&Tのシニアエンジニアとしてリモートで働きながら、バンコクで暮らしています。ま、彼の場合は、十分な給料をもらっていると思うのですが、それでもライフスタイルとしてバンコクを選んでいるのでしょう。

ノマド族(笑)の究極のあり方としては、やはり物価の安い海外で暮らすということに尽きるのではないかと私も思います。そうすれば、もし下請け仕事をするにしても、最低限の量の仕事をやれば済みますからね。自分自身を海外にオフショアしてしまうことが、リモートワーカーにとって最も効率的な生き方です。

ちまたの海外ノマド論は、理念先行型で正直言って実践の役に立つレベルとは到底言いがたいと思います。いわゆる「外こもり」論者の言説のほうがずっと実践的かと思います。やはり海外で暮らすためにはビザの問題をクリアせねばならず、そこは理念や正論だけでは何ともならない世界です。

ビザの状況はつねに流動的に変化しており、なかなか正しい情報をつかむのは困難です。専門家に相談するのが一番なのでしょうが、詐欺師なども多く、専門家を探すことからして苦労します。とくにタイには長期滞在したい外国人が多く、ビザの発給をどんどん厳しくしているとの噂です。

もし正規に自営業者がビザを取得しようとすれば、数百万円以上の投資を行って、タイ人を複数雇用するなどせねばなりません。貧乏だからタイに行く人にそれだけの投資をするのは、なかなか難しいですね。手続きも煩雑でコストもかかりますし、ビザが却下されたり、タイ側パートナーに裏切られたりするリスクも伴います。


実際には、タイにいる外国人にも、プータローみたいな人は結構おり、そういう人はいろいろな手法で対応しているようです。

一つにはビザランという方法があります。ビザランとは数ヶ月ごとに海外に出国して、観光ビザを取り直す方法です。最近はタイはビザランに厳しくなったと言われていますが、まだまだやっている人は多くいます。

語学学校などに籍を置いて教育ビザをとる方法もあるようです。通常は出席を厳しく問われることもないようなので、お金だけ払えばあとは自由という寸法です。

蛇の道は蛇といいますが、やはり現地に住んで、現地の情報をつかまないと、なかなかビザの現状はわからないのが正直なところかと思います。結構ハードル高いです。いずれにせよ、十分な資金力がないと、いつかは追い出されちゃうのかなあ、という感じですね。

いまのところコネとか賄賂とか裏工作とかで何とかする方法はまだまだあるのだろうとは思いますが、タイはどんどん先進国化していますので、物価も上がってきていますし、賄賂なども通じにくくなっているようです。

そこでラオスやフィリピンやミャンマーなどの周辺諸国も見に行っていますが、バンコクと比べると圧倒的に生活の質が低いのが残念なところです。ま、ラオスやフィリピンは住もうと思えば住めると思いますが、ミャンマーはちょっと生活の質が劣悪すぎて住むのは無理ですね。

今度の夏にはバリ島をちょっと覗いてみたいと思っています。バリ島は日本の夏が乾期のようなので、日本の冬期を乾期のバンコクで過ごして、日本の夏期をバリ島で過ごすという手もあるな、と。いまのところ、一年に半年ずつ暮らすなら観光ビザでも問題にならない気がします。(しらないけど)

日本にいて日本企業の劣悪な労働環境で働くのもサバイバルなら、海外で正規のビザもなく生活するのもサバイバル。あんまり明るい未来像が描けません。なんとしても事業を成功させなければ・・・

ちなみに高齢者には引退ビザというものがあったりするので、若い人よりビザはとりやすいです。しかし我々が高齢者になるころに、物価が安くて過ごしやすい国がどっかあるのでしょうか?

引退ビザというのがあるのなら、「リモートワーカービザ」というノマド向けビザもあればいいのになあ、と思いますね。

参考:

  1. 誰も教えてくれない、タイ・ビザのイロハ|Thai visa


2013年2月5日火曜日

アジアが熱い? 日本企業が海外進出する理由なんて本当にあるのか?


またバンコクに一ヶ月滞在している新井です。バンコクにいらっしゃる方はお気軽に声をかけてください。ご飯でもご一緒しましょう。

こちらにいると「タイでビジネスをするつもりがあるのですか?」と良く聞かれますが、私はタイで本格的に事業を行うつもりは一切ありません。

個人が海外進出(放浪、留学、就職)するのに理由など要りません。面白そうだから、武者修行したいから、日本にいても行き詰まったから、そんな理由だけあれば十分です。しかし企業が海外に進出するには、利益があがると考えられる確かな理由が要ります。

大企業には海外進出するための様々な理由があります。市場だったり、税制だったり、労働力だったり、資源だったり、いくらでも理由はありますよね。

しかし中小・零細企業にとって海外進出というのは、かなり難しいものです。

一つには無数の壁が立ちはだかっていること、もう一つにはそもそも進出すべき理由が少ないことです。

進出の壁というのは、すなわちビザ取得の壁、法制度の壁、人脈がない壁、市場に入れない壁、壁を乗り越えるための資金がない壁などです。壁を乗り越えるには資金がかかり、中小企業にはなかなか厳しいものがあるかと思います。

進出すべき理由がないということは、案外皆さん気づいていない方が多くて驚きをおぼえます。

中小企業の資金力で、海外で大々的に市場参入などできっこないのですから、基本的にはビジネスの方向性は3つに絞られます。

1つは日本との間で貿易を行う貿易商。2つめは日本企業の進出にくっついて細かいサービスや工場などを提供するコバンザメ商法。3つめは現地の労働力や資源を活かして、製品やサービスを生産して日本や欧米にうっぱらうオフショア商法です。

中小企業が現地人向け市場に参入しようなどとは基本的に愚の骨頂です。そうした市場では現地人のほうが強いに決っていますし、大手資本でもなければ、市場に参入するだけの営業・販売・マーケティング・物流などの力を投入できないでしょう。

日本向けにITオフショア企業などをやっている会社もありますが、言葉の壁を考えると非常に大変そうだなあと思います。そんな人を使ってる暇があったら自分でコーディングしたほうが速いと思っちゃいますからね・・・

やはり手堅いのは、1.日本企業向けに不動産紹介(駐在員サポート)や人材紹介・育成などのサービスを提供すること 2.日本企業向けに部品の製造や貿易などの下請け仕事やオフショア製造(軽工業)をやる、の2種類ではないでしょうか。

いまだったらミャンマーに進出する日本企業にコバンザメのようにくっついて、サポートの仕事をするといったところが手堅いと考えられているようです。

それって私にとってはあまり魅力的ではないなー、と思いますね。日本企業の下請けをやると、思いっきりこき使われますからね。

「アジアがすごい成長している!」とか「アジアのマーケットをつかめ!」などという議論をしている人たちがいますが、そのマーケットをつかめるのは一部の大企業のみです。成長している国に住むことは楽しいですが、実際に事業として中小企業がアクセス可能なマーケットがどれくらいあるのか考えたほうがいいですね。

日本を代表するような大企業の人たちには、ばんばんアジアやアフリカや中南米に進出してどかんどかん勝負してほしいですが、中小零細企業にとっては海外進出は良い賭けとはいいにくいです。世界進出に賭ける熱い思いがあるなら是非やるべきですが、そうじゃないならやめときましょう。日本でやったほうが成功の確率は高いです。

日本にいながらだって世界と取引できる時代です。べつに中小企業が大上段に構えて海外進出しなくても、ニーズがあればお客さんが向こうからやってくるんじゃないですかね? うちのXCREAMもけっこうな割合の海外売り上げがありますからね。