2012年5月22日火曜日

ルポルタージュの魅力

日本には良いジャーナリズムが無いと嘆いていた最近の私ですが、書籍に目を向ければ、この数ヶ月の間に素晴らしいルポルタージュが沢山出版されていました。

「父・金正日と私 金正男独占告白」は、あの北朝鮮の金正男とインタビューすることに成功した日本人ジャーナリストによる著書です。空港で偶然出会って名刺を渡したことから始まるやりとりは、最初は警戒されつつも、徐々に本音を引き出すことに成功します。

150通のメールと、7時間のインタビューからなる本書では、金正男が良識有る常識的な人物であることを描き出すとともに、北朝鮮はもはや指導者層やその近くに居る人間であっても制御不能になってしまっていることを伺わせます。北朝鮮が改革・開放に舵を切る日はいつ訪れるのでしょうか?

韓国語が堪能な著者が、単身切り込んで世界的なスクープを獲得した迫力が本著の最大の魅力でしょう。「いま出版されると立場がまずい」という金正男氏を押し切って出版された本書は、ジャーナリズムの持つ非情な側面も伺わせます。本著が正男氏の立場を悪くしないことを切に願うばかりです。


「毒婦。木嶋佳苗100日裁判傍聴記」は、あの木嶋佳苗の裁判を、昔からネットで有名なフェミニストであった著者が傍聴したルポルタージュです。連載が話題になっていたそうで、実家の母もこの本の話をしていました。本屋で見かけたとき、何気なく立ち読みして、その迫力に思わず買ってしまいました。

著者は、この事件の背景を、おもに木嶋佳苗と被害者との関係性から描いていきます。フェミニストや女性の視点を交えながら、ときには揶揄するような軽い口調で、この奇怪な事件を解きほぐしていきます。この視点はとても成功しており、事件の全体像を男女関係という切り口からシンプルに説明することができています。

木嶋佳苗そのものは、単なる反社会性人格障害の連続殺人者であり、それほど興味のもてる対象とは思えませんでしたが、その周りにいる被害者たちとの不思議な関係性が少しもの悲しく、興味深いものでありました。


「ネットと愛国 在特会の「闇」を追いかけて」は、「在日特権を許さない市民の会」という最近目立っている排外主義運動のグループに深く切り込んで書き上げた力作です。

ネット右翼や在特会については、私も憂慮して見ていましたが、これまで良い書籍などがなく実態をつかめないままでいました。本書は、在特会という実体に対しジャーナリストとして肉薄して取材を重ねることで、もやもやしたネット右翼というものの一片を見えるようにした点で大きな意義があります。

本書では、在特会の会員や、それを取り巻く人々と、多くのインタビューを重ね、在特会はなぜ生まれたのかを探ろうとします。

週刊誌上がりのフリージャーナリストである著者は、まさに我々が日本のジャーナリストというと想像するような人物です。やたら熱く、フットワーク軽く取材をして、対象との距離をどんどん縮めていきます。こうした従来型のジャーナリズムがまだまだ活躍しており、素晴らしい本を書いていることに、とても勇気づけられました。日本のジャーナリズムというのも捨てたもんじゃ無いな、と思います。

ネット右翼といった危険な差別思想を生み出すことになったインターネット業界も真摯に反省し、対策を打っていく必要があるのではないでしょうか。Winny裁判の壇俊光弁護士が言うように、発信者情報開示請求を行いやすくする法整備をするなどの法改正も必要でしょう。匿名で何を言っても責任を問われないネット社会というのは、言論のあるべき姿ではないと思います。

この三冊はどれも素晴らしい書籍なので、ぜひ一度、書店で手に取ってみることをお勧めします。

2012年5月21日月曜日

バンコクでノマドライフを送る

ごぶさたしております。新井です。

三ヶ月のバンコク生活を終えて、先日、日本に帰って参りました。

バンコクはとても暮らしやすい街で、生活費も安いので、フリーランスの人のノマド滞在先にはぴったりではないでしょうか。フリーランス生活には、将来の展望が無いのですから、住みたいときに海外に住むくらいの役得がないときついかなと思います。

というわけで、バンコク滞在についてお話しします。

・バンコクの魅力

バンコクの魅力は、物価(とくにホテルなど)が安いこと、治安が良いこと、飲食店や買い物などの楽しみが充実していること、飯がうまいこと、人々が感じが良いこと、乾期(11月~4月)には気候が良いこと、あたりでしょうか。いままさに発展を続けている国の繁栄と力強さや、その中にも残る庶民の生活など、色々な側面を楽しむことができます。(雨期は雨ばかりなので、雨期の滞在は全くお勧めしません。)

・住まい

友人が管理人をしているシェアハウスの主寝室(専用バスルーム付き)を借りました。一月に12000バーツ(35000円くらい)で、プールとメイド付き。清潔で快適な部屋でした。

そうしたシェアハウスはcraigslistなどで入居者を募集しているようです。現地には日本人のやってる不動産屋なども多くありますので、部屋探しにはあまり困らないのではないでしょうか。

ホテルでも一泊3000円も出せば中心部の綺麗な部屋に泊まれますし、そこそこの部屋で良ければ1500円くらいでも十分にあるんじゃないかと思います。

・働く場所

スターバックス、トンロー店(ソイ11にある方)がお勧めです。空いていて、電源のある席が多いです。電源のある席は人気なので、電源タップを持って行くのをお勧めします。

バンコクにはやたらスタバが多いので、働く場所にはまず困らないと思います。

・インターネット

バンコクでは、インターネット接続の速度はまずまずです。日本や韓国のように超高速ではないですが、十分満足できるレベルだと思います。

i-mobile 3gxという3Gモバイル接続サービスは、100バーツで1GB使えるという安価な設定です。MBKというショッピングモールにいくと、3GモデムとSIMカードを買うことができます。あとはセブンイレブンでtop upカードを買って、こちらのページから残高追加することができます。

・食事

庶民的な食い物屋に行けば、一食30~40バーツくらいで食べられます。120円以下ですね。一食の量が少ないので、自然と痩せることができます。最初は足りないと感じますけど、すぐに慣れます。間食も充実してますしね。

・言葉

バンコク中心部ではだいたいどこでも英語が通じるので言葉で困ることもまずありません。現地ではタイ語のレッスンを受けていたのですが、あまり使う機会がないので上達しないまま帰国してしまいました。英語ができないのはタクシーの運ちゃんくらいですね。

・治安

バンコク中心部では治安は良いです。滞在中、治安の心配をしたことはありませんでした。

・交通

公共交通機関では到達出来ない場所が多いので、そういうところへはタクシーかバイクタクシーを使うことになります。バイクタクシーは便利なので、がんがん使ってしまいますが、交通安全の意識の無い国ですので、事故る確率は高いです。

・トイレ

駅にトイレがないので、トイレの近い人は、トイレ使える場所を憶えておくほうが良いと思います。ショッピングセンターがどんどん増えているので、昔より安心になりました。

・ビザ

観光ビザは3ヶ月有効です。日本人はビザ無しだと30日なので、長期滞在には観光ビザを取る必要があります。日本で取るとやたら必要書類が多いので、近隣諸国で取るのが良いでしょう。

本格的に移住するとなると、フリーランスでビザを取るのはなかなか難しそうです。何らかの会社を設立しないといけないでしょうね。バンコクには移民弁護士みたいな人が大勢居ますので、まずそういう人に相談するのが一番と思います。

日本企業は沢山あるので、そこで働くならビザは手に入れやすいと思いますが、給料は全く期待できませんし、外国企業や現地起業を含めても、先端的なITの企業は皆無です。

身分が保障されなくても良いのであれば、「ビザラン」という方法もあります。3ヶ月に一度出国し、観光ビザを取り直して戻ってくるという方法です。あまり長く続けていると、ビザ取得を拒否されたりすることもあるようですが、わりとこの方法で滞在してる人は多いです。ベトナムとタイに半々ずつ住んで生活しているという人もいました。

2012年4月11日水曜日

起業をする人が知っておくべき、起業の現実とは

起業とは何でしょうか。この数年のウェブ世界では起業論がブームになっているようにも思います。やってみるまでわからないことも沢山あるでしょうが、やってみなくてもわかることもいくつかあると思いますので、私の経験も交えて起業論を話してみます。

・心構え

独立や起業することは良いことなので、「やってみれば」と言いたいところですが、起業することはやはり責任が重く、ピンチも沢山やってくるので、気軽に薦めるわけにも行きませんね。

起業する前には、とにかく大ピンチを想定してやったほうがよいでしょう。

仕事は全くこない、もしくは仕事を納期までに終わらせられず顧客に大損害を与える、迂闊にも仕事を安請負して大変なことになる、破産して多大な借金を背負う、病気になる、従業員は出社拒否になる、共同創業者とも喧嘩して残ったのは自分一人、新規事業は数年間売上がほぼ0のまま、平日も土日も朝から夜までずっと仕事でそのうえ雑用ばかり。

こんなことは多くの社長が経験していることです。

起業家にとっては「失敗が当然」なのです。

社長には、何事にも自分で責任を持つ責任感が必要な一方で、「失敗して、自分や家族や顧客や従業員や金融機関に多大な迷惑をかけても、自分は大丈夫、なんとか生きていける」という考えがないと危険です。利益と現金以外のことには無頓着な気持ちでないとやっていけません。「失敗しても命まで取られることはない」と、覚悟を決めてやるしかないのです。これだけの責任を負うというのは大変なことです。

「借金をしない」「事務所を借りない」「従業員を雇わない」「請負契約には強い免責条項を入れる」というルールを厳守すれば、こうした責任の大半から逃れることができますので、まずは責任を負わずに独立自営したい人は考えてみると良いでしょう。

さて、起業するにあたりいくつかの分類があるので、以下で見ていきたいと思います。

・フリーランスと起業

一言に独立するといっても、単に会社を離れて一人でフリーランスとして独立する場合もあれば、従業員を雇うなどの投資をして新しく企業を興す場合もあります。

フリーランスは単に契約形態が違うだけで、仕事自体は自分が一人でこなしているので、起業というほどのものではないでしょう。フリーランスは、とても能力があり、営業活動もしっかりできる人であれば、暮らしていくことは難しくないでしょう。コツは、営業活動(講演、執筆、業界活動等)に十分な時間を割くことと、必要な給与の2倍以上の時間単価を課金することです。

フリーランスは、起業の練習段階として捉えることもできますし、プロフェッショナルの究極の働き方として捉えることもできます。どちらにしても大事なことは、一社の専属にならないことです。もし一社専属であれば、フリーランスではなくて単なる契約社員ですから・・・

フリーランスは、請負契約の責任にさえ気をつければ、ほぼリスク0で独立できますので、やってみる価値もあるでしょう。ただし中年以上のサラリーマンの場合は、独立しても仕事が取れなかったときに、再就職できる見込みがあるかどうか要注意です。ちなみに独立前に見込み顧客がいない場合は、独立しても絶望的ですのでやるだけ無駄でしょう。副業からスタートするのが無難かもしれませんね。

それに対して、人を雇う、設備や製品に投資をする、などをすれば起業であると私は考えます。起業については以下に述べていきます。

・製品企業と人材企業

起業して会社を作る場合であっても、製品を作る企業になるのか、人的サービスを売る企業になるのかということは、大きな違いであるとよく言われます。後者は、いわゆるソフトウェア企業での受託企業ですね。

人的サービスを売る企業は、投資の必要性が少なく、社長の能力や営業力を活かしたり、下請けの仕事や小さい仕事を取ってくることができますので、参入しやすく、小さく始めることが容易であると言えます。

問題としては、参入が容易なため競争が激しく薄利で低成長になりやすいことと、景況の波に対応しにくいことの2つがあります。市場自体が低成長の場合には、差別化と営業努力が要求されます。

それに対して、製品を作る企業の場合には、投資も必要ですし、うまく製品が売れるかどうか分かりませんので、新規参入は圧倒的に難しくなります。売れたとしても数年間くらい時間がかかることも普通です。いきなり新米社長が製品を作るのは非常に難しいものです。

かといって人材企業を作ってから製品企業に転換するというのも、とても難しいのです。一つの会社の中に、淡々と他社の仕事をこなしてお金を稼ぐ部門と、金になるかわからない新しい製品を作る部門を並立させるということは、どれだけ困難か想像してみてください。人材企業として成功して利益がでていれば、そうした贅沢もできるかもしれませんが、薄利でやっている人材企業にとっては、そんなことは不可能なのです。既存の従業員が、かえって足枷になってしまうのです。

最悪なのは、「何か新しいビジネスをやるぞ」「製品を作るぞ」と言ってスタートして、なし崩し的に受託企業・下請け企業になってしまい、「本当は製品が作りたい。受託なんてしたくない」と言っているケースです。

まあ、人生にはそういう時期もあるかもしれません。が、それを長く続けたら人生最悪ですし、そういう会社の従業員になることも最悪なので絶対に避けるべきです。受託をやるならやるで、本気でやらなければ生き残っていくことなど出来ないのですから。

・新規市場と既存市場

他にも企業には色々な分類の仕方があるかと思いますが、「目新しさ」ということは一つの大きな要素です。

これまでなかったような全く新しい市場を作り出すのか、現在も競争相手がいて普通に商売をしているところに、ちょっとだけ違うものを投入してお金を儲けるのか。

全く新しい市場で、既存のお客さんや競争相手のいないところに乗り出すのは、基本的には自殺行為です。大成功する場合もあるでしょうが、99.99%は大失敗するでしょう。それで大きく成功している例が目立つだけで、その陰には無数の死者がいるのです。

インターネット業界では、今も昔も「それでどうやって金が儲かるのか?」というビジネスで起業する人が後を絶ちません。残念ながら「便利で面白いソフトウェアを作りました」では商売にはならないのです。基本的には、確実にお客さんが金を払ってくれるものを作らなければいけないのです。もしくは、とてつもない数のユーザを獲得できるようなものを作ってうまく普及させる必要があります。

新規市場に乗り出すからには、「どんなことをしてでも自力で新しい市場を開拓する!」という覚悟と、それだけの能力が必要不可欠です。その根性がないのなら、既存市場にしておいた方が無難でしょう。

もちろん、コカコーラに対抗して新しいコーラを発売するとかいうことも自殺行為ですが、それでも本当に違いが分かるほど美味しいコーラならマニア層が多少なり買ってくれる可能性はありますので、いくらかマシと言えます。

でもWindowsに対抗して新しいOSを作るとか、弥生会計に対抗して新しい会計ソフトを作るというのは、ほぼ無理でしょうね。ネットワーク効果や、顧客にロックインが発生する分野では、すでにシェアの大きい企業に対抗しての新規参入は困難ですから。

起業がかっこよいからやってみる!というのも悪くないとは思いますが、成功の見込みのないソフトをうだうだ開発し続けて、そのあげく失敗して非正規労働者に転落では悲しすぎます。自分の「起業」が単なるモラトリアムではないか、それを確認するために「これで本当にお金が稼げるのか?!」と問い続けるべきでしょう。

・大きく賭けるか、小さく賭けるか

起業にはもう一つ重要な分類があります。急成長を狙うベンチャーをやるか、それとも自分にとってちょうどよいペースでやるか、です。

急成長を狙う場合は、基本的には投資家からの投資を受けて、うまくお金や人材を活用することによって、急成長を狙うということになります。これにはビジネスモデルも大事ですし、経営者や創業者にはかなりの能力が要求されることになります。また、失敗を前提として、投資によって資金調達することで個人のリスクを軽減します。ストレスや困難は大きいでしょうが、これはこれで個人的なリスクの少ない方法です。

自分にとってちょうどよいペースでやる場合は、基本的には投資を受けず、徐々に自己資金での成長を目指していくことになります。場合によっては政府金融機関から融資を受けたりすることもあるでしょうし、従業員も徐々に雇うかもしれません。大事なことは何事も無理をせず徐々に進めることです。会社を清算したときに多大な借金が残らないように、つねにキャッシュフローに気をつける必要があります。

副業として開始をして、本業の給料などをつぎ込みながら行う、バイトしながら行う、というのも一つの方法です。副業なんかでうまく行くのか? と言う人もいるかもしれませんが、副業でうまくやれるくらい高いモチベーションの無い人は、本業にしても失敗するに決まってますよ。

粗利が年間数千万円の会社など、吹けば飛ぶような零細企業ですが、もし一人だけでやっているビジネスなら素晴らしい事業です。売上が何億円あっても、多くの従業員と、負債の個人保証を抱えていれば、個人的には全く裕福とは言えません。

起業家にとっては失敗が標準なのですから、失敗してもダメージが少なくて済むように常に心がけるべきです。

・起業家のエコシステムとは何か

起業家のエコシステムということが良く話題になります。起業がもっと盛んになるにはどうしたら良いか、という議論が盛んです。投資が受けられれば良いとか、メンターやアドバイザーがいれば良いとか、そういうことが言われますが、私は以下のように考えます。

まず、お金に関して言えば、投資というのはあくまで利益が生まれてこその投資ですので、ベンチャー企業が売上や利益をあげられることが前提です。現状の日本では、ソフトウェア企業にお金を投じたからといって、それが利益につながる関係がまだ見いだせていないように思います。米国のように市場が巨大で、企業買収が盛んな場所では違うのかもしれませんが・・・

メンターやアドバイザーも良いかもしれませんが、そもそも成功した起業家が表に出てこない日本では、メンターたり得る人がほとんどいません。自分で起業したことない評論家やコンサルタントの人は、たまに意見をもらうアドバイザーやコンサルタントには良くても、メンターとは言えないでしょう。また、一緒に仕事をして責任を取ってくれる人こそが、本当の指導者です。Googleにおけるエリック・シュミットのような人がいれば起業家は大きく成長できるでしょうね。

とにかく主役たり得るのは起業家だけではないでしょうか。

起業家が魅力的な商品を作れば、消費者や企業などの顧客も食いついてきますし、新しい市場も立ち上がります。起業家が魅力的な会社を作れば投資家も食いついてきます。成功した起業家がどんどん生まれればメンターも投資家も買収も増えてくるでしょう。

まずは独立してフリーランスになるもよし、一人でしこしこ製品を作るもよし、人材サービス企業を作るもよし、一人一人がやれることをやるしかありません。

一つだけ大事なことは「くさらないこと」だと思います。これまで起業する人を数多く見て来ましたが、ほとんどの人は売上があがらなかったり、思うようにいかなかったりして「くさって」意欲を失ってしまいます。意欲を失った、死んだような会社を続けて、そんなところが従業員を雇っているのは最悪なことだと思います。

そんなに簡単に起業がうまく行くようなら世界は億万長者だらけですよね。

私も独立してからもう10年くらいにもなりますが、まだまだ商売では初心者中の初心者です。本当に思うように行かず失敗ばかりですが、とにかく失敗を糧にして、成功した人たちから学び、なんとかくさらないでやっていきたいものです。

追記: ちなみに起業を止めようと思ってこの記事を書いたわけではありません。私のようなダメな起業家がなんとか10年間も喰って来れたんですから、あなたもきっとやれますよ! 起業は楽しいですよ。

2012年2月21日火曜日

メイシーに項目追加機能がつきました!


メイシーにも続々とお客様が増えており、新しいご要望を頂いております。

今回は、名刺データへお客様独自の項目を追加できる機能を実装いたしました。これにより、名刺データにfacebookアカウントなど独自の項目を追加して、より便利に管理していくことが可能となります。

これからもご要望には可能な限り対応していきますので、お気軽にご要望をお寄せ頂ければと思います。よろしくお願い致します。

日本から逃げた先に幸せはあるのか?

2月2日から3ヶ月の予定でバンコクに滞在中の新井です。こちらにお立ち寄りの方、在住の方など、是非お気軽にお声がけ頂ければと思います。

こちらでタイ語を学んだりしながら、のんびり暮らしています。と言いたいところですが、スケジュールのきついプロジェクトがあるので毎日バリバリ仕事をしています。

私は、これまでロンドンやソウルなどに3ヶ月くらい長期滞在して語学を学んだり遊んだりして暮らしてきた経験がありますが、今回も同じような遊学の予定です。前回までと違うのは、今回はフルにインターネット接続された状態で、日本と同じように仕事をこなしながら生活するということです。

べつにバンコクに永住しようとか、仕事を見つけようとか、そういう考えがあるわけではありません。単にバンコクにしばらく暮らしてみたくなっただけです。10年前とは違い、いまは高速なインターネットが容易に手に入る時代ですので、このように海外に長期滞在をするのは簡単になりました。

さて、最近ちまたでは、日本はもうダメだから海外に逃げようとか、富裕層が海外に逃げるとか、そのような言説が目立ちます。

ですが、そのような人たちは、はっきり言ってまともに結果を考えているとは思えません。逃げた先にどのような幸せがあるのか、それが全くわかりません。

「日本が軍事独裁国家になり戦争に突入するから逃げろ」という妄言を吐いた人もいましたが、世界で日本よりも戦争や独裁から遠い国というのは数少ないような気がします・・・ この人の住んでいるアメリカ合衆国という国は、あちこちで戦争をやっていて大勢の戦死者を出し、テロ対策のために空港で全乗客を全裸スキャナーで検査するような国だったような気もしますが?

バンコクは物価も安く、とても暮らしやすい国です。しかし、この国で住み続けるためにはビザというものが必要です。この国では、起業家がビザを取るルールはなかなか厳しいようで、簡単に取るというわけにはいかなさそうです。

こちらで日本人の現地採用の仕事を探すと、だいたい5万バーツ~6万バーツ(13万円~15万円)というのが給与の相場です。一時的に海外で仕事をする体験は悪くないかもしれませんが、長期的に働くとなると将来の貯蓄やキャリアパスに不安を感じます。いつまでもタイに住んで働けるとは限らないのですから。タイだって、どんどん成長して生活費もあがるでしょうし、おそらくは日本人の居場所も少なくなるでしょう。

外国で働くということは、ビザの問題と、能力発揮の問題があり、とても難しいことだと思います。ビザを考えると起業家やフリーランスという選択肢はまず不可能です。能力を発揮するという点からも、外国人が仕事をするのはどの国でもすごく不利になるでしょう。言語力で劣るだけでなく、人脈、文化の理解、法制度など全ての面でマイナスなのですから。

海外に住むということは、法的に極めて脆弱な条件に置かれることになります。ちょっとした軽犯罪ひとつで追い出されたり、政治的に問題発言をしただけで追い出されたりするかもしれません。会社を辞めれば、次の仕事を見つけるまでにビザが切れてしまうかもしれないのです。

たしかに金型や溶接の技術者など、一部の特殊な技能を持つ方は、タイの方が好待遇を得られるということもあるかもしれません。極めて優秀なソフトウェアエンジニアや研究者はアメリカにいったほうが好待遇を得られるでしょう。しかし、そういう例はごく僅かです。バンコクでは現地採用の日本人のプログラマの給料は5万バーツ(13万円)程度です。

税制のために富裕層が海外に逃げるという意見を持つ人もいますが、脱税を目的とする場合は日本と縁を切る覚悟が必要ですね。日本にある程度滞在している場合には、日本で課税される可能性があるわけですから。税金が安くなるからといって、日本と縁切りするほど魅力ある税金の安い国があるでしょうか? 香港やシンガポールは永住するにはちょっと退屈ですよね。

もちろん私は、国際的であることは素晴らしいことだと思っています。プログラマで英語ができないとか、ちょっとあり得ないと思うので、さっさとセブ島にでも留学すべきだと思います。海外体験を積むことも素晴らしいことだと思います。

日本人ならいつでも世界に飛び立てるのに、世界がどんなに魅力的だということを知らずに死ぬのはもったいないです。ラオスの山奥で農業をして暮らす人々も、サンフランシスコでソフトウェアの仕事をして暮らす人々も、どちらも出会う価値のある人々です。まあ、私は結局のところ、日本人以外では韓国人が一番つきあいやすいと思いますけどね。文化的に近いので。アメリカ人とかは個人的にはちょっと付き合いにくいです。

海外に行けば、日本がいかに素晴らしい場所であるか、戦後の日本人がいかに頑張ってアジアの人々の尊敬を勝ち取ってきたか、そんなことを学ぶこともできると思います。

海外で一旗あげるぞ! 武者修行だ! 留学だ! 起業だ!という野心に燃える方は素晴らしいので是非がんばってほしいものです。海外で楽しく暮らすぞ! という方も、楽しいので是非いらしてください。

しかし「日本はもうダメだ」などというマイナスな考え方をばらまく人は、海外に行った先に何があるのか、もう一度考え直して欲しいものだと思います。

私には、ちょっと世界のどこかの国で、日本人が働いて暮らすとして、日本よりも楽に良い待遇や環境が得られる場所というのは思いつきません。そこに住む日本人達は、彼らなりの思いや経験を経て、死にものぐるいで頑張って、ようやくそこにいるのではないでしょうか。戦争や政変でも起こらない限り、日本人にとって、海外の方が暮らしやすいなどという日は来ないでしょう。

追記: 誤解を招く部分があるので追記しますが、私は海外留学も海外就職もとても楽しくて良いことだと思っています。どんどんやるべきです。ただ「日本はもうダメだ」と悲観的なことを言うのはやめてほしいなあ、というだけです。

あと起業家でもビザが取りやすい国もあるそうです。いま私がいるタイはすごく厳しいようですが、そうでもない国もあるみたいですね。日本で起業家ビザを取ろうとしている友人から、日本もわりと取りやすいという話を聞きました。

2012年1月29日日曜日

Winny事件を最高裁での勝利で終えて

先日、Winny事件での最高裁判決があり、無罪という結論になりました。金子さんが逮捕されてから7年にもなります。この記事では、私の立場からのWinny事件の感想をまとめたいと思います。

私は、金子さんが逮捕された直後からウェブサイトを立ち上げて支援活動を行い、無数の方々から1500万円もの支援金を頂いて、弁護費用に充てることができました。このように広い範囲からご支援を受けての弁護活動というのは日本では珍しい事例なのではないかと思います。

私は、何らかの政治的バックグラウンドや活動歴や人脈があるわけではなく、全くの知らない人々から支援を受けて、それを弁護団に届けただけの無名の一般人、ということになります。ありがたいことに、いまだに無名のままでいます。

私は金子さんとは面識がありましたので、金子さんが善良な人であるということには、ある程度の確信がありました。金子さんの人柄がなければ、あれほどの支援を受けることは難しかったでしょう。

刑法にも若干の知識がありましたので、法的にかなり無理をしての逮捕であるということも想像が付きました。刑法学の教員をしている友人に薦められて読んだ刑法入門の本が、まさか実際に役立つ日が来るとは思ってもいませんでした。

警察が社会の規範を一方的に定めるべきではないという私なりの考え方もありました。社会の規範は、あくまで国民の意思をもとに国会で法律として定められるべきです。警察や検察が勝手に勇み足で、法的に無理な逮捕・起訴を行うべきではありません。

しかし、まさかこのように多額の支援が集まるとも、最高裁まで戦って無罪が勝ち取れるとも思ってもいませんでした。

今だから言うことができますが、個人的にはWinnyのファンというわけではありませんでした。ファイル共有ソフトウェアはどうしても違法コピーの牙城となりがちですし、流出した情報が回収困難になるなどの問題があると考えていました。

しかし、法的根拠もないのに警察が開発者を逮捕する、ということは全く話が別です。

そのようなことが行われれば、法的に曖昧な領域での技術開発や事業推進が行われなくなってしまいます。新技術や新事業というのは、しばしば法的に曖昧なものですから。

それどころか、検察はライブドア事件によって日本のベンチャー市場を完全に破壊してしまいました。あれから、いまだに日本の新興市場は低迷を極めています。

日本の株式市場には、明らかに異様な仕手筋の企業がのうのうと上場を続け、一部上場企業のオリンパスは多額の粉飾をしても平然としています。その一方で、ライブドアは、ただ目立っていたというだけで、検察によって潰されてしまいました。堀江さんは、いままさに監獄の中にいます。

日本の警察は、パチンコのような違法ギャンブルを黙認することによって自分たちの利権のタネとする一方で、村木事件のような数々の冤罪を生み出しています。検察や警察にはもっと厳しい目が向けられてしかるべきです。

もちろん日本は素晴らしい国であり、優れた民主主義の法治国家であることは間違いありません。Winny事件でも、無数の多くの人々から支援の声があがり、最終的に無罪を勝ち取ることができました。

しかし今回のように、多くの人が声をあげていけば、この国はもっと良くなっていくのではないかな、と思います。私も、この経験を生かして、今後とも何かの機会があれば、いろいろと活動をしていこうかな、と思っています。

最後に、これまでの皆様のご支援に心より厚く御礼を申し上げるとともに、今後とも皆様が社会を変えるために立ち上がっていくことを願ってやみません。今回の勝利は、1円でも寄付して頂いた皆様のものです。まちがいなく。

2012年1月14日土曜日

海外送金のWestern Unionが日本再登場

Western Unionは少額国際送金のグローバルスタンダードです。

これまで数年間の間、日本では取り扱いがなくなっていましたが、最近、便利になって復活しました。

銀行で海外送金をする場合、書類の記入も多く面倒ですし、一回の送金ごとに6500円くらいの多額の手数料がかかります。

Western Unionであれば、受取人の名前さえ指定すればお金を送信することができます。相手が身分証明書を持ってない場合でもパスワードにより送信できるという機能があり、それにより身分証などの整っていない後進国でも利用可能となっています。

手数料も5万円までなら1500円と割安です。

企業でも少額の送金にはWestern Unionを使うところがあるようです。先日、中国の電子機器メーカーにサンプルを発注したときは、Western Unionか銀行送金で決済してくれ、と言われました。

ヴィクトリア朝時代のインターネットによれば、Western Union社は、もともと電信の会社として設立され、19世紀に世界でも最も早く電信送金を実現した会社だということです。いまになってもそのサービスを継続しているのだから、非常に息の長いオンラインサービスということになりますね!