2015年10月31日土曜日

サルサDJを始めるための基礎知識

私がサルサDJを始めてから数年が経ちました。福岡では新しくDJを始める人が大勢いて盛り上がってきています。ここで友人知人やその他で、サルサDJを始めたい人のために基礎知識を書こうと思います。世の中にDJの情報は色々ありますが、サルサDJは、他のジャンルとは全く異なるので、あまりネット上の情報は役に立ちません。

サルサDJは、他のジャンルのDJと異なり、DJとしての特別な知識や技量は必要ありません。サルサの音楽を愛しており、沢山の曲を持っていて、さらに家で普段から良い音でサルサを聴いているサルサダンス上級者であれば、すぐにでもDJを始めることができます。

(ちなみにこれはサルサDJが簡単という意味ではないです。色々な趣味を持つお客様を広く満足させるのは、かなり大変ではないでしょうか。特別な技量が要らないだけに、DJの曲の知識と趣味が直接問われますし、批判も多いです。さらにバーでプレイするなら、お酒の売り上げも増えるように考えなければなりませんしね。)

・機材

サルサDJの機材は、パソコンにUSBオーディオ出力インタフェースを接続して行うのが基本と思います。オーディオ出力インタフェースがないと、再生中に次の曲を探すためにヘッドホンでの試聴が出来ないので、オーディオ出力インタフェースは必須です。

他のジャンルのDJと異なり、サルサでは決して曲をミックスしてはいけませんので、DJコントローラーは不要です。

パソコン用のオーディオ出力インタフェースには、DJ専用のもの、オーディオ用のもの、安価なパソコン周辺機器のものなどがあります。

音質にシビアでなければ、安価なUSBオーディオデバイスをヘッドホン用にして、パソコンのヘッドホン出力からスピーカーに再生すればいいでしょう。本当に安いものであれば、1000円以下でも探せると思います。Amazonで「usb オーディオ」などで検索すればでてきます。

もちろん定期的にDJをするのであれば、お客様のためにも当然1万円くらいのちゃんとした製品を買うほうが良いとは思いますが。

タブレットやスマートフォンからDJをするのはちょっとトリッキーです。USBのような標準の外部インタフェースがありませんので、専用機器と専用ソフトウェアを接続して行うことになります。iOS用であればTraktor Audio 2などの製品がありますが、Android用のDJ製品があるのかどうかはちょっと良く分かりませんでした。

・ソフトウェア

DJ用ソフトウェアは、サルサDJならば何でも良いのではないかと思います。私の周りではVirtual DJを使っている人が多いようです。私はTraktor Proを使っていますが、どうもプレイリストの自動再生機能がちょっと使いにくいので、いまいちサルサDJには向いていないように思います。

・曲を入手する

サルサDJをする上で、一番難しいのが曲を入手することです。

ラテンの曲が一番揃っているのは、iTunes Storeの米国版かと思います。iTunes Storeの米国版を使うには、米国版iTunesカードを購入してそれで支払をするしかありません。割高だし、面倒なのですが、現在の所は他に方法がないので仕方が無いですね。私はこちらのサイトからカードを購入しています。

他には、日本のAmazonダウンロード販売でダウンロードしたり、Amazonから普通にCDを購入したり、ラテン音楽ネットなどの専門サイトからCDを購入したりする方法があります。

一つ注意点としては、クラブの大音量で再生するときは音質が問われますので、家でもなるべく良い音で普段から音楽を聴く方が良いかと思います。世の中には音質が悪かったり、演奏の質が悪かったりする曲もあるけれど、そういうものはきちんとした音で聴かないと分からなかったりするものなので。

あとiTunes Storeなどでは、有名な曲を検索すると、多くの無名演奏家によるカバー演奏が掲載されていることにも注意が必要です。よほどの理由がなければ、名曲のカバーをわざわざ選んでプレイする必然性はないでしょう。皆が知っている元の名曲をかけるべきです。

・曲を選ぶ

サルサDJの仕事は、とにかく曲を選ぶことに尽きます。どんな曲をかけるかは、もちろん趣味の問題ですから、私がアドバイスできることはありませんが、あまり趣味に走りすぎず、多くのお客様が楽しめる名曲をかけるようにしたいものですね。

サルサであれば、BPM (Beat Per Minute, 曲の速さ)は97あたりが標準で、90~100くらいが普通に踊りやすい範囲でしょう。フロアが初心者ばかりであれば、80~90もアリだと思います。105以上のBPMは、とても速いので、たまに盛り上がったタイミングでかけるくらいが無難だと思います。(もちろんメレンゲとバチャータは全く別のテンポです)

(BPMは曲をDJソフトウェアに投入すると自動的に解析されて表示されます)

曲の長さは、4分くらいがベストです。実際には、そこまで短い曲は少ないので、4~5分の曲を選んでかけることになるでしょう。5分を超えると、踊っている方としては、結構長く感じます。6分の曲は、ごくごくたまにかけるくらいならアリでしょうか。7分以上の曲は絶対にやめたほうがいいですね。

サルサDJは曲をかけてる最中はとくにすることはないでしょう。DJソフトウェアを使えば、音量なども自動的に適切なものに調整してくれますし、やることはありません。次の曲を選んで自動再生をセットしたら踊りにいってもOKです。

・曲を編集する

先ほど書いたように、サルサDJでは、踊る人の都合を考えると、曲はなるべく5分までの長さに抑える必要があります。

しかしDJとしては長くても「この曲は是非かけたい!」という曲もありますよね。そういうときに役に立つのが音楽編集ソフトです。これを使えば、曲を編集して途中を切断してつなぎなおしたりして、短く編集することができます。

私が使っているのはAbleton Liveというソフトですが、他にも色々なソフトがあると思います。こうしたソフトは、DJソフトと同じようにテンポ解析機能が入っているので、うまく行けば、あまり苦労せずに曲を切断してつなぐことができます。(ま、実際はかなり苦労したりしますが・・・)

プレイ中に、曲をフェードアウトしたり、曲の途中で他の曲に切り替えたりするDJもいますが、踊ってる方からすると途中で曲を切られるのはかなり違和感がありますので、なるべくやるべきではないでしょう。わざわざフェードアウトしなくても、世の中には5分以内で良い曲が沢山あるのだから、そういう曲をかけるべきです。

あらかじめ音楽編集ソフトで、不要なコーラスの部分などを切断してリミックスしておけば、現場で曲を叩ききるよりも、ずっと自然に気持ちよく踊ってもらうことができます。もちろん皆が知っているような有名な曲はリミックスするべきじゃないですが。曲を知ってる人は、それに合わせて踊りますからね。

どうしてもフェードアウトをするとしても、単にフェーダーを下げて曲を途中で終われば良いというものではなく、曲のちょうどよいタイミングで、ちょうどよい速度でフェーダーを下げなければならないので、あらかじめ編集しておけば、ずっと容易にスムースなフェードアウトをすることができます。

もちろん次の曲をミックスしてスムースに別の曲につなぐのは言語道断で迷惑千万なので、絶対にやってはいけません。サルサを踊る人ならご存じの通り、どこで踊るのをやめれば良いかわからなくなり、困惑して非常に嫌な気分になるからです。(ちなみにサルサを普段から外に踊りに行かない人はサルサDJをするべきではないですね)