2012年9月2日日曜日

ギーク達の破滅の物語

私は普段フィクションは漫画しか読みません。小説や映画などは時間がかかりすぎるとおもって敬遠しています。しかし、主人公がギークとなれば話は別です。

ギーク(geek)とは、私の定義では、理系男性で、自閉的な性格傾向をもつ変人たちのことです。優秀なプログラマーには、このような性格類型を持つ男性が多く居ます。

ここに紹介する三編の小説は、どれも英国の小説で、皮肉で、滑稽でもあり、やや文学的でもあり、主人公のギーク(科学者またはプログラマー)が冒険をして恋をして破滅するという物語です。

ギーク達がもつ幼稚な愛情、または愛情の欠如が物語に乾いた歪みをもたらします。

ギークは他人が苦手であり、他人とあまり関わろうとしない傾向があります。しかし完全に孤独を好むわけでもなく、彼らが他人と関わるときには常に危うさが伴います。

ギークは恋愛が苦手であり、性欲が薄かったり、愛情が薄かったりします。しかし(以下同文)

そうした彼らが人間と関わり社会と関わるときにどのような問題を引き起こすか、冷めた語り口で、ギークの視点から見ていったのが、これらの物語です。

これらの中でも、「ソーラー」で描かれた、ギークのくせに徹底して俗物で好色で無責任でデブでハゲでチビのマイケル・ビアードという人物に好感と親近感を抱きました。

彼は、他人に興味がなく、他人への誠実さへの欠片も無いくせに、セックスとお金と賞賛が大好きという最低・最悪の人物です。そのくせ、血も涙も無い凶悪人物というわけでもなく、徹底して小人物なのです。

このような人物に嫌悪感を持つ人もいるかもしれませんが、私は彼にこそ人間性の真実を見いだします。俗悪な人物でありながらも、成功と虚栄と求めて、人類の発展に貢献してしまったりする、そんな生き様こそ人間的であり人間の真実だと思うからです。

家族愛にあふれた人たちもいれば、他者を顧みずに数式やコードを愛する人もいる、そんな人間の多様性というものが、この人類の発展を生み出してきたのですから。

日本にもこれくらい俗悪なギークがどんどん増えて、俗悪なベンチャー企業をどんどん立ち上げてくれたら面白くなるのになあ、と思いましたよ。もっと欲望にまみれて生きていきましょう。

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