本書の主旨は、事業や事業領域にはライフサイクルがあり、そのライフサイクルに適した各種のイノベーションを行うことと、成熟した事業領域から資源を引き抜き、本質的かつ成長する「コア」に資源を集中投入する、ということです。
本書ででてくるいくつかのテーマを以下にまとめます。
- イノベーションは、市場の成熟度合いによって、いろいろなパターンがある。
- 成長が期待でき、かつ、他社と差別化して競合優位を得るための本質的な部分である「コア」と、自社として特化していない部分、または成長への期待がもてない「コンテキスト」にわけて、コアに資源を集中する。
- 事業の領域には、重要かつ実行の難しい「ミッション・クリティカル」領域と、実行の容易な「非ミッション・クリティカル」領域がある。コンテキスト領域は、なるべく単純化して非ミッションクリティカルに持ち込む。
- イノベーションとは集中特化であり、数多くの方向の揃っていないイノベーションを行うと、中立化して意味が無くなってしまう。
- 事業スタイルには、反復プロセスを重視して比較的低コストで大量販売を行う「ボリューム・オペレーション」と、個別の顧客に密接した営業を行い個別のプロセスで複雑かつ高額の販売を行う「コンプレックス・システム」型がある。この二つのスタイルは、主流となる型が交互に入れ替わっていく。
初期市場・成長市場における製品リーダーシップイノベーション:
- 破壊的イノベーション: 新規製品による新規市場創造
- アプリケーション・イノベーション: 既存技術の新しい分野への応用による市場創造
- 製品イノベーション: 既存市場に前例がない機能を投入して差別化
- プラットフォーム・イノベーション: 下位にある既存テクノロジーの複雑さを隠蔽する
- 製品ライン拡張イノベーション: 既存製品を一部変更してサブカテゴリーを作る
- 機能強化イノベーション: 既存製品に斬新な機能を追加して価値を増やす
- マーケティング・イノベーション: 購買プロセスでの潜在的顧客とのやりとりで差別化する
- 顧客エクスペリエンス・イノベーション: 製品そのものではなく、利用プロセス全体の体験を向上する
- バリュー・エンジニアリング・イノベーション: 製品の外部属性は保ったまま、仕様や設計や調達を変えてコストを下げる
- インテグレーション・イノベーション: 多様な構成要素を一つにまとめて、顧客の維持管理コストを下げる
- プロセス・イノベーション: 製品ではなく、その製造・提供プロセスからムダを省く
- バリュー・マイグレーション・イノベーション: バリューチェーン内のコモディティ化した要素から離れて、より利益率が高い領域へシフトする
- 自立再生イノベーション: 自社内の資源を使って新規成長市場に乗り出す
- 企業買収再生イノベーション: 外部企業を買収して新規成長市場に乗り出す
- 収穫と撤退
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