インターネットによる一般医薬品販売の規制については、こちらの記事などをご参照頂ければと思います。
インターネットによる一般医薬品の販売が厚生労働省の省令により禁止され、ケンコーコムなど既に事業を行っていた事業者が撤退せざるを得ないという異例の事態が生じたものです。それに対して、ケンコーコムは訴訟を提起し、ヤフーや楽天などの事業者はeビジネス推進連合会という業界団体を組織して、厚生労働省の動きに対抗しています。
私の意見としてはパブリックコメントに書いたとおり、理論的にも実際的にも対面販売よりもインターネット販売のほうが安全性が劣るという理由がなく、規制は不当であるというものです。
インターネットによる一般医薬品販売の規制は極めて不当な物です。厚生労働省の省令として、正当な理由もなく、一つの業界が完全に潰されたという異例の事態です。私には、対面販売によって安全性が確保されるという理由の一つも見いだすことができません。
法規制にも、どういった経緯により誰がどのように意思決定したのかという透明性、法規制を必要とする現状や将来に関するデータと予測、法規制によってどのように目的を達成するのかという論理とシナリオ、そういったことを説明する責任があるのではないでしょうか。
厚生労働省が新薬を認可するときには製薬会社にとほうもなく詳細なデータを要求しているはずですが、自分が何かをやるときは一つの根拠もなくてよいのですから、役人というのは良い商売ですね。
以下、パブリックコメント本文です。少し論点が整理不足気味で申し訳ありません。
(1)賛成する。
(2)理由1: 対面での医薬品販売時にくらべてインターネット販売が安全性で劣るという主張には根拠がない。
対面における一般用医薬品の購入時に薬剤師から説明や質問を受けることは実質的に行われていない。薬剤師は店頭には限られた人数しかおらず、通常の販売時に質問を受けたり説明を行うべく待機している状態ではない。実際に薬店薬局で調査してみればわかることだが、第一類医薬品であっても、単に薬剤師がレジを打って販売するだけという店も多い。
説明や質問が行われているとしても、購入時にレジで行われるのみであり、時間的に限られた中で、十分な質問や応答を行うことができない。顧客が質問や疑問を持っているとしても、限られた時間内であるので十分な質疑を尽くせることは期待できない。客の並んだレジでどのようにどの程度の説明を行うというのか。
かといって、処方箋医薬品の交付のようにカウンターなどで座って数分の説明時間をかけるとするのは経済的にも顧客の利便性の面からもあり得ない話である。問診を望む客は薬局ではなく診療所へ行くだろう。顧客は利便性と迅速性をもとめて一般用医薬品を買うのである。
すなわち対面販売では十分な説明が行われて安全性が確保されるというのは虚構である。
もし対面での医薬品販売時にくらべてインターネット販売が安全性で劣るという主張により規制を行うのであれば、実際の販売の実態を無作為に調査して、通常の利用シナリオにおいて、インターネット販売では情報提供等が有意に劣っており、かつ、その情報提供の不十分さにより実際の健康被害につながり、かつ、その予想される被害の大きさと頻度が許容できるリスクを超えている、という調査結果がなければならない。その証拠がなく規制をすることは不当である。
そもそも今回の規制において厚生労働省は、インターネット販売において具体的に実際の対面販売とどのように異なることによりどのような危険が予期されるのか、その根拠を提示していない。パブリックコメントで規制緩和の理由を聞く前に、まず厚生労働省が規制の根拠を提示すべきである。
理由2: インターネットでの医薬品販売では、対面販売に比べて優れた情報提供を行い、より高い安全性と顧客の利便性を確保することができる。
A.顧客に十分な情報提供を行い、選択肢を与えることにより、顧客自身が商品の購入判断を行うことが、最も安全性を高めるのに適した方法である。
現在の薬局薬店では、薬をレジの後ろの棚に隠すなどしており、顧客に情報や選択肢を与えない方針をとっている。それは顧客の情報へのアクセスを阻み、安全性を阻害する行為である。
薬剤師による対面の情報提供といっても、薬剤師は顧客の個別の健康情報を把握しているわけでもなく、顧客個別の健康情報を把握するのに十分な時間も権限も手段もない。患者に検査や診断などを行うことができる医師とは異なり、薬剤師は単に薬の一般的性質やリスクを説明できるに過ぎず、注意書きを超えた本質的な安全性向上策が講じられるわけではない。全ての顧客に対して個別の健康情報を聴取するというのは現実的に不可能である。
それどころか、薬局薬店の薬剤師は売っている個々の製品がどのような成分を含有しているかすら把握していない場合がある。
それに対して、顧客本人は自らの既往症、体質、服用している薬などについて、薬店薬局の薬剤師よりも多くの情報を持っている。そのため、薬剤に関する十分な情報が提供されれば、薬剤師よりも的確な判断を行うことができる。
B.インターネット販売では、詳細な添付文書を掲載し、禁忌条件などのチェックリストを作成してチェック必須とすることができる。
インターネットでは、その性質上、顧客に豊富な選択肢と詳細な情報を提供することができる。箱に記載された小さな成分表や注意書きとは異なる、安全性や効能に関する詳細な添付文書を掲載することができる。
また顧客も時間的制約などにとらわれることなく、購入前に詳細な文書を閲覧して、ゆっくりと比較・考慮・検討することができる。
それにより、上記Aの理由により、顧客により高い安全性と利便性を提供できる。
また薬によっては、服用禁忌条件のチェックリストなどを作成し、全ての項目にチェックした場合のみ販売できるようにすることができる。
さらにインターネットであれば、特定の薬に限らず、医薬品のカテゴリや疾病や健康などに関する詳細な情報提供を行うページを作成することも可能である。インターネット医薬品販売サイトにおいて、薬剤師が広く認められた学術的知見に基づき、情報提供のページを作成することが許可されるとすれば、安全な医薬品選びなどを助けることができる。
C.インターネット販売であれば、薬剤師に時間をかけて詳細な質問を送り、それにたいして十分な回答を受けることができる。
一般の薬局薬店とは異なり、インターネット販売店であれば薬剤師は顧客への情報提供に専念することが容易である。メールによって質問を受けるのであれば、顧客、薬剤師ともに時間を有効に活用して余裕を持って詳細な質問と回答を行うことができる。
以上の理由から、医薬品のインターネット販売を規制する省令には一切の根拠がなく、安全性を低下させ、薬局薬店の利益を保護するための極めて不当な規制であると言える。ただちに廃止するべきである。
(3)理由1で述べたとおり、インターネット販売が薬局薬店での販売よりも安全性が劣ることはないので、特別に安全を確保することは不要である。
それどころか薬局薬店での対面販売においても有害無益な規制を緩和すべきであると考える。高度な教育を受けた薬剤師を店でレジ打ちさせることは多大なムダである。
もしインターネット販売を、店頭よりも安全な販売手段として優位に位置づけるのであれば、理由2に述べた施策を全ての店舗が行うことにより、店頭よりも安全な販売手段となる。その場合は、第一類医薬品の販売を含む、全ての一般用医薬品の販売を可能とするべきである。また将来的には、処方された医薬品を通販で購入・受け取りできるようにすべきである。
また安全確保策は必ずしも個々の店舗で行う必要はなく、政府や業界団体によって一般用医薬品のデータベースや薬剤師へのメールや電話での相談窓口などを整備しておけば、全体のコストを抑えることが出来る。
インターネットによる一般医薬品の販売が厚生労働省の省令により禁止され、ケンコーコムなど既に事業を行っていた事業者が撤退せざるを得ないという異例の事態が生じたものです。それに対して、ケンコーコムは訴訟を提起し、ヤフーや楽天などの事業者はeビジネス推進連合会という業界団体を組織して、厚生労働省の動きに対抗しています。
私の意見としてはパブリックコメントに書いたとおり、理論的にも実際的にも対面販売よりもインターネット販売のほうが安全性が劣るという理由がなく、規制は不当であるというものです。
インターネットによる一般医薬品販売の規制は極めて不当な物です。厚生労働省の省令として、正当な理由もなく、一つの業界が完全に潰されたという異例の事態です。私には、対面販売によって安全性が確保されるという理由の一つも見いだすことができません。
法規制にも、どういった経緯により誰がどのように意思決定したのかという透明性、法規制を必要とする現状や将来に関するデータと予測、法規制によってどのように目的を達成するのかという論理とシナリオ、そういったことを説明する責任があるのではないでしょうか。
厚生労働省が新薬を認可するときには製薬会社にとほうもなく詳細なデータを要求しているはずですが、自分が何かをやるときは一つの根拠もなくてよいのですから、役人というのは良い商売ですね。
以下、パブリックコメント本文です。少し論点が整理不足気味で申し訳ありません。
(1) 一般用医薬品のインターネット販売及びテレビ電話等を活用した医薬品販売の規制緩和への賛否
(2) 賛否の理由
(3) 一般用医薬品のインターネット販売及びテレビ電話等を活用した医薬品販売を行った場合でも、安全が確保される仕組みがないか。また、もしあるとすればその具体的アイデア
(1)賛成する。
(2)理由1: 対面での医薬品販売時にくらべてインターネット販売が安全性で劣るという主張には根拠がない。
対面における一般用医薬品の購入時に薬剤師から説明や質問を受けることは実質的に行われていない。薬剤師は店頭には限られた人数しかおらず、通常の販売時に質問を受けたり説明を行うべく待機している状態ではない。実際に薬店薬局で調査してみればわかることだが、第一類医薬品であっても、単に薬剤師がレジを打って販売するだけという店も多い。
説明や質問が行われているとしても、購入時にレジで行われるのみであり、時間的に限られた中で、十分な質問や応答を行うことができない。顧客が質問や疑問を持っているとしても、限られた時間内であるので十分な質疑を尽くせることは期待できない。客の並んだレジでどのようにどの程度の説明を行うというのか。
かといって、処方箋医薬品の交付のようにカウンターなどで座って数分の説明時間をかけるとするのは経済的にも顧客の利便性の面からもあり得ない話である。問診を望む客は薬局ではなく診療所へ行くだろう。顧客は利便性と迅速性をもとめて一般用医薬品を買うのである。
すなわち対面販売では十分な説明が行われて安全性が確保されるというのは虚構である。
もし対面での医薬品販売時にくらべてインターネット販売が安全性で劣るという主張により規制を行うのであれば、実際の販売の実態を無作為に調査して、通常の利用シナリオにおいて、インターネット販売では情報提供等が有意に劣っており、かつ、その情報提供の不十分さにより実際の健康被害につながり、かつ、その予想される被害の大きさと頻度が許容できるリスクを超えている、という調査結果がなければならない。その証拠がなく規制をすることは不当である。
そもそも今回の規制において厚生労働省は、インターネット販売において具体的に実際の対面販売とどのように異なることによりどのような危険が予期されるのか、その根拠を提示していない。パブリックコメントで規制緩和の理由を聞く前に、まず厚生労働省が規制の根拠を提示すべきである。
理由2: インターネットでの医薬品販売では、対面販売に比べて優れた情報提供を行い、より高い安全性と顧客の利便性を確保することができる。
A.顧客に十分な情報提供を行い、選択肢を与えることにより、顧客自身が商品の購入判断を行うことが、最も安全性を高めるのに適した方法である。
現在の薬局薬店では、薬をレジの後ろの棚に隠すなどしており、顧客に情報や選択肢を与えない方針をとっている。それは顧客の情報へのアクセスを阻み、安全性を阻害する行為である。
薬剤師による対面の情報提供といっても、薬剤師は顧客の個別の健康情報を把握しているわけでもなく、顧客個別の健康情報を把握するのに十分な時間も権限も手段もない。患者に検査や診断などを行うことができる医師とは異なり、薬剤師は単に薬の一般的性質やリスクを説明できるに過ぎず、注意書きを超えた本質的な安全性向上策が講じられるわけではない。全ての顧客に対して個別の健康情報を聴取するというのは現実的に不可能である。
それどころか、薬局薬店の薬剤師は売っている個々の製品がどのような成分を含有しているかすら把握していない場合がある。
それに対して、顧客本人は自らの既往症、体質、服用している薬などについて、薬店薬局の薬剤師よりも多くの情報を持っている。そのため、薬剤に関する十分な情報が提供されれば、薬剤師よりも的確な判断を行うことができる。
B.インターネット販売では、詳細な添付文書を掲載し、禁忌条件などのチェックリストを作成してチェック必須とすることができる。
インターネットでは、その性質上、顧客に豊富な選択肢と詳細な情報を提供することができる。箱に記載された小さな成分表や注意書きとは異なる、安全性や効能に関する詳細な添付文書を掲載することができる。
また顧客も時間的制約などにとらわれることなく、購入前に詳細な文書を閲覧して、ゆっくりと比較・考慮・検討することができる。
それにより、上記Aの理由により、顧客により高い安全性と利便性を提供できる。
また薬によっては、服用禁忌条件のチェックリストなどを作成し、全ての項目にチェックした場合のみ販売できるようにすることができる。
さらにインターネットであれば、特定の薬に限らず、医薬品のカテゴリや疾病や健康などに関する詳細な情報提供を行うページを作成することも可能である。インターネット医薬品販売サイトにおいて、薬剤師が広く認められた学術的知見に基づき、情報提供のページを作成することが許可されるとすれば、安全な医薬品選びなどを助けることができる。
C.インターネット販売であれば、薬剤師に時間をかけて詳細な質問を送り、それにたいして十分な回答を受けることができる。
一般の薬局薬店とは異なり、インターネット販売店であれば薬剤師は顧客への情報提供に専念することが容易である。メールによって質問を受けるのであれば、顧客、薬剤師ともに時間を有効に活用して余裕を持って詳細な質問と回答を行うことができる。
以上の理由から、医薬品のインターネット販売を規制する省令には一切の根拠がなく、安全性を低下させ、薬局薬店の利益を保護するための極めて不当な規制であると言える。ただちに廃止するべきである。
(3)理由1で述べたとおり、インターネット販売が薬局薬店での販売よりも安全性が劣ることはないので、特別に安全を確保することは不要である。
それどころか薬局薬店での対面販売においても有害無益な規制を緩和すべきであると考える。高度な教育を受けた薬剤師を店でレジ打ちさせることは多大なムダである。
もしインターネット販売を、店頭よりも安全な販売手段として優位に位置づけるのであれば、理由2に述べた施策を全ての店舗が行うことにより、店頭よりも安全な販売手段となる。その場合は、第一類医薬品の販売を含む、全ての一般用医薬品の販売を可能とするべきである。また将来的には、処方された医薬品を通販で購入・受け取りできるようにすべきである。
また安全確保策は必ずしも個々の店舗で行う必要はなく、政府や業界団体によって一般用医薬品のデータベースや薬剤師へのメールや電話での相談窓口などを整備しておけば、全体のコストを抑えることが出来る。
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