2014年6月13日金曜日

コンドーム以外のHIV感染予防法 (PReP等)

【免責事項】本稿の著者は医師や医療関係者ではなく、本稿には間違いを含む可能性があります。本稿に従ったことにより受けた一切の不利益について著者は一切の責任を負いません。

HIV(エイズウイルス)の感染を防ぐ方法としては、これまではコンドームだけが有効であるとされてきました。

いまでもコンドームが最も高い予防効果を持っていることは変わりありませんが、それ以外にもいくつかの予防方法が出てきています。

こうした予防方法は、たとえばHIV陽性のパートナーを持つ人がコンドームと併用することで予防効果を高めたり、もしくは何らかの理由でコンドームが使えない/使いたくないのに複数の人と性行為を続けたりする場合に使うことができます。

先日、日本でのHIV新規感染者数が過去最多になったというニュースが報道されました。

とくに日本では男性同性愛者の感染が多いので、そうした高リスクにある方は、本稿の方法によってリスクをさげることができます。

日本では性感染症対策は遅れています。とくに性風俗店などは、警察の管轄にあり、きちんとした規制が行われていないために、性感染症対策や労働法規の適用などの労働者の保護や公衆衛生の管理が行われていません。政府はこの状況をすぐに変えるべきです。


HIVをコンドーム以外に防ぐ方法としてこれまでに成功しているものには、HIV治療薬による予防内服と、男子割礼(いわゆる包茎手術)によるものがあります。

男子割礼は臨床試験の結果からは、ある程度の効果があると考えられ、アフリカで実際に多くの人を割礼するプログラムなどが実施されています。先進国では今のところHIV予防手段として認可はされていないようです。陰茎のうち感染しやすい部分が除去されることで感染が減ると推測されています。

現在試験されており、今後が期待されるものとしては、HIV治療薬のジェルを膣に塗布する方法と、HIVワクチンがあります。

残念ながら、どの方法も100%の効果があるわけではないので、コンドームなどと併用しながら、徐々にHIVを追い詰めていくということになるでしょう。

HIV治療薬の予防内服はアメリカのFDAにより認可され、正式な予防方法となりました。本稿ではアメリカのガイドライン(注1)に基づいてHIV治療薬の予防内服(PReP)について説明をしていきます。


予防内服は、一日一回テノホビル(300mg)・エムトリシタビン(200mg)の合剤(ツルバダ配合錠)を服用するだけで、安全かつ効果的にHIV感染のリスクを減らします。

そのため予防内服は、性的に活動的な男性同性愛者、異性愛者の男女、注射で麻薬を利用している人などのうち、HIV感染のリスクが高い人に推奨されます。

HIVに感染している人は予防内服を開始してはいけないので、予防内服を開始する前に、検査を受けてHIVに感染していないことを確認しなければいけません。

予防内服はきちんと毎日継続して飲む必要があり、性交渉のときだけ飲むとか、飲んだり飲まなかったりしてはいけません。

予防内服をしている間は、開始時とその後6ヶ月ごとに腎機能の検査が推奨されます。


HIV感染のリスクが高い人とは以下のような人のことです。
* HIV陽性の性的パートナーがいる
* 最近、他の性感染症にかかった
* 性的パートナーの数が多い
* コンドームを利用しないことが多い
* セックスワーカーである
* HIVが流行している地域にいる
* 麻薬の注射器を共有している


予防内服の効果は、これまでの臨床試験の結果によれば、HIV感染のリスクを50%程度減らします。ただし、90%以上の日にきちんと服用していたと申告した人に限れば、73%のリスク低減効果がありました。

血液中に薬剤が検出された人に限れば、92%程度のリスク低減効果がありました。

統計的にみると、毎日確実に飲み続ければ、体内に薬剤が行き届いてからは、99%の予防効果があると推測されるそうです。

このように、きちんと毎日飲み続けることができれば、かなり優秀なリスク低減効果が得られることが分かります。もし日本の性的に活動的な男性同性愛者の全てが予防内服の恩恵を受けることができれば、日本のHIV新規感染者数は大きく下がるでしょう。


予防内服を行うことの障壁は二つあります。一つには、日本ではツルバダ配合錠は予防用には認可されておらず、おそらく予防内服を提供してくれる医師がまだいないこと。もう一つは、ツルバダ配合錠の薬価は一日当たり3863.60円と、きわめて高価なことがあります。(一ヶ月あたり11.5万円!)

「ジェネリック ツルバダ」などで検索して、海外の怪しげな闇薬局からジェネリックを買うという方法もありますが、悪い業者に引っかかれば、どんな偽薬を掴まされるか分かったものではなく、その方法には一定のリスクを伴います。

もし、あなたが高リスクで、かつ、予防に使えるお金があるのであれば、日本国内のHIV専門医を口説き落として、予防内服プログラムを実施してもらうのが一番ではないでしょうか。

副作用や安全性についてはツルバダ配合錠の添付文書を参照して下さい。


まだよく分かっていない点として、「どれくらい飲み続ければ効果がでるのか」という点があります。まだ良く分かっていませんが、体内で十分に薬剤が行き渡るまでには20日はかかるのではないかと考えられています。また危険な行為をやめてから飲むのをやめるまで、1ヶ月くらい飲み続けたほうがいいと考えられています。

そのため、飲んだりやめたりするのは現実的ではなく、基本的には常時ずっと飲み続けることが前提になっています。中途半端に飲んだりやめたりすると、中途半端になり、薬剤耐性ウイルスを生じさせてしまう危険性があります。


【免責事項】本稿の著者は医師や医療関係者ではなく、本稿には間違いを含む可能性があります。本稿に従ったことにより受けた一切の不利益について著者は一切の責任を負いません。

参考文献:
1. US Public Health Service, Preexposure prophylaxis for the prevention of HIV indection in the United States - 2014, A clinical practice guideline. http://www.cdc.gov/hiv/pdf/guidelines/PrEPguidelines2014.pdf

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