英国人の哲学者である著者が、おもに第二次大戦における英国によるドイツ都市への無差別爆撃をテーマに、連合国によるドイツや日本の都市への無差別爆撃は、不可避のことであったのか、道義的犯罪であったのかを緻密に分析した書籍です。
本書では、イギリス空軍の戦略、爆撃を体験した人の話、爆撃に反対した人々、爆撃に賛成した人々など様々な視点から、無差別爆撃の犯罪性を明らかにしていきます。
著者は、連合国による無差別爆撃も明らかに人道的犯罪であったと明らかにし、今後も同じようなことが起こることを避けるべきであると断じます。アメリカ空軍は市民への攻撃を禁止したジュネーブ条約第一追加議定書に署名しておらず、依然として無差別爆撃を攻撃オプションとして保持しているとしています。
真珠湾攻撃を「軍事拠点への攻撃に過ぎない」と断じ、9/11のテロと原爆投下を同列に論じる本書がアメリカやイギリスで主流として受け入れられるとは思いませんが、刺激的であり、読む価値のある本であると言えます。
もちろん著者にはナチスドイツの侵略やホロコースト、大日本帝国の侵略や捕虜虐待などを連合国の罪と相殺して軽くしようという意図は少しもありません。そうではなく、勝者の行為であれ、敗者の行為であれ、人道に対する罪は厳しく断罪されるべきであるとの立場です。
目次
- 空襲=無差別攻撃は犯罪だったのか
- 爆撃戦
- 空襲された人びとの体験
- 空襲した側の考え方
- 良心の声
- 無差別爆撃への反対論
- 無差別爆撃への擁護論
- 結論
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