日本では、なぜか家庭用医薬品は処方箋医薬品(医療用医薬品)よりもずっと高いという状態が続いています。もちろん医療用医薬品は保険で3割負担なのですが、10割負担だとしてもその薬価は家庭用医薬品よりずっと安いものが多いかと思います。
医師や薬剤師の時間を使ったあげくに薬が安く買えるという逆転状況は、資本主義の原理に反しており、日本の医療費を増大させる原因になります。
医薬品業界には「薬九層倍」という言葉があり、薬は原価の9倍で売れるなどと言われています。
これは家庭用医薬品の世界では、薬店などの流通業界が大きな権益を握っていることや、家庭用医薬品への参入が厳しく制限されていることがあると思われます。
現在は厚生労働省が、薬剤師や薬局薬店などの利益を重視しているため、このような無法がまかりとおっていますが、そのうちに財務省や政府から圧力がかかって状況が変わることでしょう。日本の財政状況を考えれば10年以内に劇的な変化があってもおかしくありません。
では、どう変わるのか。
まず家庭用医薬品への参入規制が緩められ、ジェネリック医薬品製造会社が大々的に乗り出してきて、通販などの流通手段で大幅に安い薬を売ることになると思います。抗アレルギー剤を90日分まとめて3000円とか、そういう世界になると思います。
もうちょっと医師による指導が必要なような薬では、いちど医師が診察して処方したら、あとは薬剤師とのやりとりだけで長い期間の処方が受けられるリフィル処方箋の導入もありえるでしょう。
処方箋医薬品の通販による販売も可能となり、さらに家庭用医薬品の通販もさらに進むでしょう。
ただし、これらの改革には日本医師会の強い反発があるので、政治的には実現するのはかなり難しくなるでしょうね。
厚生労働省は間違った日本の薬局制度を廃してバンコクの薬局を見習え | 日に以て親しむ-新井俊一ブログ
以前もこのような記事を書きましたが、私は今は10年~20年のうちには変化があるかなという予想をするようになりました。日本の医療費は年間40兆円という恐ろしい水準になっており、もはや政治的圧力などをかまっていられる状態ではないと思いますので。
さらに踏み込んで、インド製ジェネリックを輸入して日本で正規販売できるようになれば、大幅に薬剤費を下げることが可能なのですが、日本政府はそこまでは踏み切れないでしょうね…。
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