2011年5月16日月曜日

福翁自伝

福翁自伝福澤諭吉の自伝です。

たまたまジュンク堂で旅行用に携帯しやすい文庫本を探しているときに見つけました。とりたてて福澤諭吉に興味があるわけではないのですが、私は歴史が好きですし、口語体で現代かな遣いで印刷も新しく読みやすそうなので、これを買いました。

私は福澤諭吉に特段興味が無かったのですが、本書を読んですっかりファンになりました。本書は福澤諭吉が口語体で書いた唯一の長篇と言われており、非常にユーモアに富んだ語り口で、現代人にとっても極めて読みやすいものです。ユーモアと、その自由な精神が非常に魅力的です。

福澤諭吉を一言で表すとしたら「独立自尊」でしょう。

幕末から明治期という、政府について大きな仕事をしよう、会社をつくってボロ儲けしようという人々が大勢いるなかで、福澤諭吉はひたすら自分を信じて学問に励み、そして政府の誘いを断って民営の学校として慶應義塾を運営していきます。

お金にはあまり興味はないようですが、慶應義塾の分校をどんどん作り拡大していったり、既存の出版社があまり役に立たないと見るや、自分で出版社を作って自著の印刷製本を行ったり、新聞社を設立したり、事業意欲には満ちあふれています。

暗殺の恐怖におびえて隠れて過ごしたり、さっさと武士をやめてしまったり、福澤諭吉は、我々がいま想像する武士や侍のありかたとは大きく異なっています。政治闘争に奔走する志士とは全く違うやり方で大きな成功を収めた点が興味深いものです。

とにかく組織に属することを嫌い、独立と自由を愛した福澤諭吉の生き方は、いまの日本人にとって最も必要なロールモデルだと考えます。このような人々が多くいれば、日本も確実に良くなるでしょう。

次は「学問のすすめ」も読んでみようと思います。こちらは文語体なので、少し読みにくそうですが....

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