2016年11月12日土曜日

中国でも香港SIMで自由にインターネットを

以前、中国でVPNを使ってインターネットアクセスを試みたという記事を書きましたが、あれはほとんど失敗といっていいくらいつながらない状況でした。

中国のインターネット検閲装置である金盾はかなりよく出来ていて、SSLのように一般的に使われるプロトコル(それ自体は制限されていない)であっても、その接続がVPNに使われているかどうかをトラフィックから検知し、検知すると大幅に通信速度を制限して使い物にならなくするという機能がついているようです。(これは極めて高度な仕組みであり、これを大規模に実装するには高度な技術力と莫大な資金が投じられていることは間違いありません。)

そのためVPNで通信していると、しばらく時間が経つと全く通信できなくなるということがしばしば発生します。使っているサーバーや業者によっては安定してつながるという説もありますが、本当かどうかはよくわかりません。

しかし現在、誰でも安定して中国からインターネットにアクセスする方法があります。

それは香港SIMを使うことです。

中国政府は、携帯電話の海外ローミングによるインターネット利用は規制していません。おそらく外国人が使う分には構わないという判断や、他国の通信会社との取り決めなどの政治的理由によるものや、プロトコル上他国を経由して通信するので技術的に規制困難などの理由によるものかと思います。

(しかし香港SIMは本人確認なしで買えますし、完全プリペイドなので、自由に他人に譲渡することができてしまいます。これを中国に輸入して大量に売りさばく人がでてきたら中国政府は困ってしまうのではないかと思いますが?)



海外ローミングは一般的には高額なものですが、香港SIMは中国国内での通信を比較的安価に提供しています。一番割安な「跨境王4G香港號碼版」では、1GBあたり118香港ドル(約1600円)で利用可能です。これは日本のMVNOに比べれば高額ですが、世界的にみればさほど高くない水準と思います。

現在、これを利用しながら1ヶ月の中国旅行を行っていますが、とても安定して使えています。これをもっと早く知っていれば、台北ではなくて中国に語学留学できたのに!と悔しい思いで一杯です。ただローミングしてPCからウェブを見ていると1GBなんてあっという間に使ってしまうので、お金がかかってしょうがないですが…。(ちなみにウェブでクレジットカードでトップアップ可能)

注意点として、中国についてSIMを入れて起動してから、回線が開通するまでに数時間かかったことです。最初は壊れているのかと思い、とても不安になりました。しばらく待ちましょう。



海外SIMを使うのは難しいことではありませんが、SIMロックのかかっていない携帯電話が必要です。それをもっていない人は激安のWifiルータを買うといいでしょう。ただし普通の携帯電話で海外SIMを使うのと違って、利用には多少のITの知識が必要になります。

このモバイルWifiルータだと、電話を発信する機能がないので、海外プリペイドSIMで必須となるデータパッケージの選択や、トップアップ(プリペイド料金追加)ができないんじゃないかという疑問符がつくので、長期の旅行にはむいてなさそうです。

中国の滞在予定が短い人や、あまりデータ通信量の多くない人は、こちらの旅行者用データ専用カード(7日間または30日間)を使ってもいいかと思います。自動でデータパッケージが適用になるので、電話機能がなくても利用できます。



ちなみに、これまでも中国国内に拠点を置く大手外国企業は、中国政府の許可を受けて正式にVPNや専用線を利用することで海外と自由に通信ができていました。最近、それを一般の個人や小規模法人に提供し始めた日系企業があるようです。

こちらのグローバルゲートウェイでは、通常の中国国内のインターネット回線に、こちらの会社が提供するヤマハルータを設置することで、公式に許可を受けた対外回線に接続することができ、高速かつ安定した通信ができるそうです。

実際に使ったことはないのでわかりませんが、こういうサービスがあるのなら中国に住むことも可能だなぁと思いました。